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佐々木俊尚氏著書

第一章 Winny―「私の革命は成功した」

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 二〇〇三年十一月二十七日。
 東京都文京区の東大近くにあるマンションの一室で、刑事と東大の研究者が向き合っていた。
 刑事は、京都府警生活安全企画課ハイテク犯罪対策室に勤務するK警部補。一九八〇年に拝命し、生活経済課から防犯特捜隊(生活安全特捜隊)と渡り歩いてきた生安畑のベテラン捜査官である。
 京都府警はこの日、ファイル交換ソフト「Winny」を使って映画やゲームなどのファイルを違法に公開していた男二人を、著作権法違反(公衆送信権侵害)の容疑で逮捕した。

第二章 P2P―エンド・ツー・エンドの理想型

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▼「中間」に負担をかける既存のデータ通信

 そもそもWinnyというソフトは、どのような位置づけで語られるべきなのか。
 Winnyは、「P2P」と呼ばれるアプリケーションソフトの一種である。

第三章 著作権破壊――ヒロイックなテロリズム

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▼時代を動かす核となるソフトウェアを創造できる人材

 金子被告はなぜ、新しいP2Pファイル交換ソフトの開発に着手しようと考えたのだろうか。

第四章 サイバースペース――コンピュータが人々にパワーを

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▼Freenet(フリーネット)

 金子被告の2ちゃんねるでの書き込みを、もう一度見直してみたい。

第五章 逮捕――「ガリレオの地動説だ」

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▼逮捕に対する激しい非難

 金子被告は、Freenetの影響を受けてWinnyの開発をスタートさせた。
 Freenetは、六〇年代から綿々と続くコンピュータ文化の哲学を、色濃く反映している。コンピュータネットワークの世界は自由であり、国家や企業の介入は受けないという哲学だ。
 金子被告は、Freenetがバックグラウンドとしていたそれら思想潮流の影響も受けていたのだろうか。

第七章 標準化戦争――三度の敗戦

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▼「囲い込み」を追う

 Winnyはパンドラの箱を開け、その結果、国家から排除される結果となった。
 一方で別のフィールドでは、コンピュータテクノロジが国家に囲い込まれつつある。排除と囲い込みが、テクノロジと対峙する国家の二方面戦略なのだ。
 囲い込みは、いまやあらゆる分野で行われている。
 その囲い込みの実態を、私は追った。

第八章 オープンソース――衝突する国家

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▼オープンソースの登場

 だが半導体戦争からTRONの敗退にいたるここまでの流れは、実のところ序盤に過ぎない。
 時代は一九九〇年代後半へと移る。
 この時代から、インターネットやコンピュータの急速な普及が始まった。ITは、われわれの住む社会のインフラとして利用されるようになったのだ。
 それはITと世界の関係にとって、新たな時代の幕開けでもあった。

第九章 ガバナンス――インターネットは誰のものか

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▼IPアドレスとドメイン名の管理

 ICANNの側が中国に対して積極的な姿勢に出られなかった背景には、この組織の成り立ちがあった。
 少し歴史を振り返ってみよう。

第十章 デジタル家電――iPodの衝撃

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▼家電の急速な台頭

 再び、一九九〇年代後半の日本へと戻ろう。
 TRONが敗退し、ウィンテル帝国に苦汁を嘗めさせられた日本政府は、二つの方向に戦略を採った――と私は第八章の冒頭で書いた。そのひとつが、先に述べたオープンソース戦略だった。
 そして第二の戦略が、情報家電をパソコンに替わって普及させようという戦略だったのである。

第十一章 ウェブ2・0――インターネットの「王政復古」

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▼数億倍になった世界の情報量

 iPodの登場は日本にとって、半導体、OSに次ぐ第三の敗戦ともいえる事態になろうとしている。