ヒューマン2.0-1章 はじめに
ウェブ2.0という言葉がはやった。非常に簡単に説明すると、「インターネットでいろんなことが安く簡単にチチッとできるようになった」という意味である。「安く簡単にチチッ」の結果、技術の進歩スピードは加速し、ビジネスの盛衰サイクルが速まってきている。インターネットを使えば世界中とリアルタイムで安く通信できるので、国内の仕事が海外に流れるオフショアリングも増加中。
そういった変化が、どんな風に「働く個人」に影響を及ぼすのか。インターネットを始めとした、多くの技術ビジネスの発信地のシリコンバレーでは、明らかにインターネット有史前とは違う働き方、生き方が生まれつつある。ウェブ2.0時代には、人間の方もヒューマン1.0からバージョンアップしてヒューマン2.0にならないといけないからである
ちなみに、「2.0」というのは、ソフトウェアのバージョンの呼び方にならったもの。
とりあえず動くソフトウェアができました、というレベルがバージョン1.0。普通に使ってもいろいろなトラブルが頻出、「インストールするだけでも大変かもしれないし、肝心の機能もないかもしれませんが、それを承知の上で使ってみてください」という感じの製品である。そして、この段階で使ってくれた勇気あるユーザーのフィードバックを元にあれこれ手直しする。ちょっと直すごとに、1.1、1.2とバージョンアップ。で、「うむ、かなりまともに動くようになった」というところで、2.0というバージョンに改称する。しかしまだ、「時として誤作動することもありますけどよろしくね」というレベル。そしてまた2.1、2.2とバージョンアップしていって、「必要な機能が揃い、しかも大規模に使っても安定して動く」というところまでこぎつけたら3.0、となる。
つまり、2.0は「結構面白いモンに仕上がりつつありますが、まだまだ危なっかしいです」という程度。ヒューマン2.0も、グローバル化の荒波にアップアップと流されながらもなんとか形になってきたかな、でも時々水没、みたいな感じだ。
さて、本書はいくつかの読み方がある
1)異国の地で起こる変わった人たちのオトギバナシとして読む
2)日本での働き方・生き方の参考にする
3)モノは試しでシリコンバレーで働いてみるための参考にする
わたしとしては、是非3の人が増えるといいなぁと思っている。とはいっても、別にシリコンバレーが日本より優れているということではない。両方で暮らしてみた実感は、「どちらも、いいところと悪いところがあって、その客観的な合計点の総和は一定」というもの。しかし「いいところ」と「悪いところ」が、それぞれどこにあるかは随分違う。よって総和は一定でも、「どちらが好きか」ということに関しては、個人の趣味・志向によってかなり差が出る。
シリコンバレーの「いいところ」で、一番大きいのが、「技術オタクが崇め奉られる」ということだ。(これも、技術が大嫌いという人から見れば「悪いところ」なわけだが、技術産業の発展に寄与している。)よって、自分が「技術オタク」と感じる人だったら、一度はシリコンバレーで働いてみるのもオツなもの。別に「一生住む」なんていう気負いはいらない。ちょっとやってみて、嫌いだったら帰ればよいだけのことである。(ただし、「ちょっとやってみる」ためのハードルは結構高いが、人生なんだって大変なもの。)
「チャンスがあふれるなんて嘘」「実は階級社会で貧乏人は一生浮かばれない」「アメリカンドリームなんてない」など、アメリカ論がいろいろ聞かれる。どれも一理ある。でも、アメリカ人が割と幸せなのは本当である。アメリカンドリームを実現して幸せになる人は本当は少なくても、いつかは成功してリッチになれると信じている能天気な人が多いからだ。1998年の調査では、アメリカ国民の19%が「自分は国でトップ1%の稼ぎ」と思っている。さらに、その次の20%も「一生のうちいつかはトップ1%の稼ぎができる」と考えているんだそうだ。つまり、国民の2人に1人近くが「今既に、もしくはやがて、大金持ちになれる」と信じているのである。能天気ではありませんか。理由はともあれ、周りに希望を持った人が多いのは楽しい。
本書では、シリコンバレーと、そこに発生しつつあるヒューマン2.0の生き方・働き方をご紹介。「ちょっと働きに行ってみてもいいかな?」と思う人が、ほんの一握りでも出てくるといいなぁ、とそう思っております。
「ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)」(渡辺千賀著)
編注:渡辺千賀氏と朝日新書の協力を得て「ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)」の原稿の一部を掲載いたします(湯川)
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» 本「ヒューマン2.0」 トラックバック 富久亭日乗 朝日新書022、渡辺千賀 ※ タイトルに手垢のついた「2.0」という言葉を冠していることや、 気取ったポーズをとった著者の写真などから、 期待しないで読み始めたが、 なかなか得るところの多い本である。 著者がシリコンバレーで会社を 経営しているだけあって、 現地の事情が良くわかる。 「バーチャル店員」のアンナさんに、 数百人の職が奪われた、というエピソード が物悲しい。 インターネットで、スタンフォード大や MITの授業を受けられると知ったのも この本を読んだ収穫だ。 ... [続きを読む]
受信: 2007/07/29 11:48:59











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