Mixiの歴史

 ここでは具体的にmixiの歴史を紐解いてみよう。mixiがプレオープンしたのが、2004年の2月22日。正式にオープンしたのが3月で、3月1日の時点ではまだ600人の利用者4だった。1年半後の2005年8月1日、100万人を突破し、2006年の夏には500万人を突破した。今でも利用者が増え続けるmixi。だが、なぜ、これほどまでに利用者が増えたことに対する明確な答えはまだない。しかし歴史を紐解けば、その手がかりはあるかも知れない。

Photo_7 Mixiという名前は、と「i (人)」を「mix (交流する) 」させるという意味を持つ(諸説ある)。そのように最初から人との繋がりを基調にしたサービスであった。しかし、最初は、日記やメッセージのようなシンプルな機能しかなく、コミュニティやレビューが実装されたのはしばらく後になる。
 しかし、当初からmixiの熱狂を生んだ機能があった。それが「足あと」と呼ばれるシステムだ。これは、いわば非常に簡単なログ記録システムのようなもので、自分のページを訪れた人の記録が残る。普通のWebにおけるアクセス解析だと、IPアドレスくらいを知るのが限界で、個人を特定することは難しい。しかしSNS上では、ログが個人のページとリンクされているので誰が訪れたかが明確にわかるという特徴があった。

 そして、そのアクセス跡(足跡)がリンクとなっており、クリックさえすれば、その足跡の主に飛ぶことが出来た。これは、言葉を介さない新しいコミュニケーション形態でさえあった。ふと自分のページについた足跡をチェックする。大抵は友人だろう。しかし、その中に知らない名前がある。気になればその人のページに飛ぶかも知れない。なぜその人が自分のページを見に来てくれたのか気になる。もしかすると友人の友人なのかも知れない。あるいは、コミュニティからの経由かも知れない。そして、気がつけばあなたの足跡も相手のページに残り、そこで相互交流が生まれる。

 そして、その後に人々を熱中させたのが、コミュニティという制度5だった。これは海外のSNSも比較的導入しているシステムで、サークルのようなものだと考えれば良い。たとえば、「スキー好き」というコミュニティがあるとしよう。そのコミュニティを表すアイコンはスキーの写真かも知れない。概要には、たとえば「スキーが好きな人のためのコミュニティ」という趣旨が書いている。そして、そこには自由に掲示板のトピックが立てられるようになっている。

 もし、あなたが「スキーが好きだ」と考えれば、そこに参加すれば良い。そうすると、そのコミュニティの参加者一覧にあなたが反映される。そして、後は掲示板のトピック、たとえば「好きなスキー場は?」というトピックに何か書き込むも良し、読むだけで情報収集するも良し、あるいは参加しただけで満足するも良し、そのようなゆるい世界がコミュニティだ。

 Mixiにおいて巨大なコミュニティだと、30万人の参加者を超える。1つのコミュニティで、小さなSNSの参加者数に匹敵する利用者を抱えるほど、巨大なコミュニティもある。全体では100万個弱のコミュニティがある。このコミュニティ制度がmixiに生まれ、人々はこぞってコミュニティで戯れた。

 たとえば自分の会社や大学のような所属を表すコミュニティが立てられた。あるいは血液型や星座のような属性コミュニティも人気を博した。はたまたスポーツや音楽、書籍などの趣味のコミュニティが生まれた。海が好き、ハーゲンダッツが好き、というようなあるサービスや物などを愛好するコミュニティが生まれた。

 日々、無数のようにコミュニティが生まれ、その中には消えていくコミュニティもあれば、喧嘩が生まれるコミュニティもあった。また利用者が好んだのはジョークのようなコミュニティだった。たとえば、コミュニティのアイコンの画像が面白い物や、アニメーションgifを使った動きのあるコミュニティなどが人気を集めた。そうして、コミュニティはある程度、個人を表すものとなった。自分のページにおいて、自分がどのようなコミュニティに参加しているかは公開される。そこでは自分がどのようなものに興味があるのか、何に属しているかを表明するのにコミュニティは力を発揮した。

 足跡制度とコミュニティ制度。人びとを引きつけたこの機能の秘密は、非常にクイックでインタラクティブなコミュニケーションという点だった。

 言い換えれば、スピード感とドライブ感である。

 日記を書く。そこに誰かからレスがつけばすぐに自分のページに赤字で表示される6。友人の日記が公開されれば、すぐに一覧で追うことが出来る。コミュニティに書き込みがあればスレッドフローの掲示板はコメント数の増加を教えてくれる。足跡があり、友達の日記に書いたコメント数の変動も確認できる。Mixiには、自分の周りで起こっていることをリアルタイムのように反映し、コミュニケーションの速度を限界まで速める機能が整っていると考えることが出来る。(勿論、逆にこのようなスピード感のある点を嫌う人たちもいる。そういう人たちは、よりシックなSNSを利用する傾向にある)

 またmixiではmiklyという週刊のWebマガジンを発行していることも大きい。なぜならネットワークにある程度の秩序がそれにより生まれるからだ。SNSは、ネットワークであり本来、中心は存在しない。全てが端であり、あるいは中心でありうる世界だ。しかし、マガジンというかたちの運営者の声が存在する場合、それがSNSを俯瞰するツールであり、空気を制御するツールになる。そこでは、おすすめのコミュニティや、気になるアンケート、あるいはユーザの写真などが紹介される。それにより、それを読んだ者は自分のネットワークの外にある世界を知ることが出来る。いわば、外界への窓となるのだ。

「巨大人脈SNSのチカラ」(原田和英)

編注:原田和英氏と朝日新書の協力を得て、「巨大人脈SNSのチカラ」の原稿の一部を掲載いたします。掲載するのは仮原稿状態のものです。最終の完成原稿ではありませんので、引用する場合はご注意ください。(湯川)


原田和英氏著書, SNS | コメント (0) | トラックバック (0)

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