音楽をベースにしたSNS
マイスペースは、オープン型で参加しやすいことに加えて、サービス開始当初から音楽系のSNSであることをアピールして注目を集めた。具体的には参加時に「ミュージシャン」として登録することで、自分が著作権を保有する楽曲を4曲までに限り、MP3形式でアップロードしてウェブ上で再生させることができる。
このため、マイスペースはまず、インディーズやアマチュアミュージシャンの交流の場として認知されることになった。
自作の音楽データをアップロードしておくと、それを聴いた別のユーザーが感想やコメントをつけてくれる。さらにマイスペースは、バンドのメンバーを募る手段としても使われていた。英国の女性シンガー、リリー・アレンのように、マイスペースで話題になったことをきっかけにメジャーシーンに進出したミュージシャンも存在する。
マイスペースの会員数が増えて、その認知度と影響力が大きくなると、アマチュアだけでなくプロのミュージシャン達が自らマイスペースに登録するようになり、ライブスケジュール情報を掲載してチケット販売機能と連動させたり、「友達」として登録したファンや支援者へニュースメールを一斉配信するなど、プロモーション活動を行うようになった。
2004年9月には人気ロックバンドのR.E.M.が、ニューアルバムの楽曲をCD販売よりも2週間ほど先行してマイスペース上で公開して話題になった。当時のマイスペースの会員数は約200万人であったが、そのうちの60万人がオンラインで視聴したという。以後もビッグネームが続々と参入し、マドンナやU2、ジャネット・ジャクソンなどと「友達」になれるということで、マイスペースの人気は爆発的なものとなった。2006年12月には、ビートルズの“新作”アルバム『LOVE』のプロモーションページもオープンして話題になっている。
現在、登録しているアーティストは、メジャー、インディーズ、アマチュアを合わせて300万組以上。公開されている楽曲は1000万曲以上という。動画のアップロードにも対応した2006年3月以降は、PV(プロモーションビデオ)を公開するアーティストも増えている。
その一方で、人気ニュージシャンになりすましたユーザーがCD音源を勝手に配信するという違法行為が続出し、「ナップスター」や「ウィニー」などのファイル交換サービスやユーチューブなどと同様に著作権保護の観点から物議を醸している。
2006年11月には、グレースノート社のフィンガープリント技術(音楽データ認識技術)による違法ファイル自動削除システムを導入した。ところが、それと同じ月に、世界的レコード会社のユニバーサル・ミュージック・グループがロサンゼルス連邦地方裁判所に、著作権侵害でマイスペースを提訴。その後、2007年2月には動画についても、同様のフィルタリングシステムの試験運用を発表したが、著作権関連の問題は今後も手探り状態が続く模様だ。(湯川鶴章)
この原稿は出版に向けた未完成原稿です。引用する際は、ご注意ください。
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