ソーシャルメディア時代のマーティング
ソーシャルメディアの台頭によって、ウェブマーケティングはSEM/SEOを中心としたアプローチだけでは、カバーしきれないものとなった。ソーシャルメディア時代のマーティング手法としては、大きく次の三つのアプローチが考えられる。
(1)クチコミ系マーケティング手法のウェブ2.0発展形
(2)既存のリアル世界での社交マーケティング手法のウェブ発展形
(3)SEM/SEO的なアプローチをソーシャルメディア時代に敷衍・応用する
(1)クチコミ系マーケティング手法のウェブ2.0発展形
このアプローチは、従来からリアル世界でも活用されてきたクチコミの力を、ウェブ2.0のトレンドの中で見つめ直してみようというものである。CGM(ブログ、SNS、コンテンツ共有サイト)における相次ぐヤラセ問題で、その危うさも露呈することになったクチコミ系マーケティングだが、取り組み方さえ間違わなければ、依然として有力な選択肢になるだろう。
マイネット・ジャパンの社長で「近江商人JINBLOG」の管理人でもある上原仁氏(ほか共著)の『口コミ 2.0』(2006年11月。明日香出版)では、クチコミ系マーケティングがウェブ2.0時代にどう進化していけるのかの一つの方向性が示されている。マスメディアとの連動やシナジー効果も含め、総合的なマーケティング・キャンペーンの中の部品としてクチコミをどう活用するかを考えている点が、(2)のアプローチとの最大の違いである。
(2)既存のリアル世界での社交マーケティング手法のウェブ発展形
このアプローチもSNSの普及とともにすでに模索、実践されてきており、取り立てて目新しいものではない。この方向性に関しては、野村総合研究所の山崎秀夫氏の『ソーシャル・ネットワーク・マーケティング 21世紀型―「コミュニティ・マーケティング」と「顧客クラブ」』(2005年6月。ソフトバンククリエイティブ)が事例も豊富で参考になる。
簡潔に言うと、リアル世界における社交クラブやユーザー会を基本モデルに据え、そのオンライン版の形成を(自然な形で)企業側が手助けすることにより、マス・マーケティングから脱却し、「コミュニティ型経験マーケティング」を実現するということだ。
リアル世界では時間的・地理的な要因や費用対効果が支障になって実現できないさまざまな活動が、オンライン中心のコミュニティでは可能になる。商品やターゲットとする客層によっては、企業と顧客の密な関係性の醸成がこれまで以上に奏功していくのかもしれない。
同氏はその後、『SNSマーケティング入門 上客を育てる23の方法』(村井亮氏との共著。2006年9月)も著しており、こちらの書籍タイトルには、このアプローチの目指す方向性がより鮮明に現れている。
(3)SEM/SEO的なアプローチをソーシャルメディア時代に敷衍・応用する
ITによる自動化を極限まで突き詰めることによってSEMはビジネスモデルとして成立し、企業はこの広告プラットフォームから成果を得るためにSEOやLPOを実践している。しかし前述の通り、ソーシャルメディアの台頭によって、SEM/SEOの枠組みを逸脱した巨大でホットなマーケティングメディアが誕生した。
前述のとおり、CGMという概念が確立した時点でマーケティング業界の誰もがそのことに気付いており、ウェブ2.0のトレンドの中で常に話題として取り上げられ、具体的な方法論や手法が模索され、一部はすでに実践に移されていた。
たとえば、企業側からの目線での「CGM」という言葉に関しては、2006年8月4日に「CGMマーケティング」という、そのものズバリの名前を持つ新会社も生まれた。日本のインターネットに古くから関わってきたデジタルガレージが電通、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、アサツーディ・ケイ(ADK)と共同で設立した同社は、CGMの分析や活用を通じた新たなマーケティング手法、施策の開発を進めるための会社だという(※)。
※注 ── ちなみに、同社ウェブサイト内にある「Staff Blog」の2007年1月1日のというエントリは、「CGM元年に向けて by トミー」というタイトルであった。
しかしながら、現場レベルでは「ブログマーケティング」や「RSSマーケティング」、「SNSマーケティング」というように個別のサービスとの関連で語られることが多く、ソーシャルメディア全体におけるマーケティングを包括的に捉える考え方や、そうした方向性に実際に現場のトレンドを導いていくようなブレークスルー的なバズワードが生まれることはなかった。
「SEOからSEO+SMO(ソーシャルメディア向け最適化)へ」(山中 歩)
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