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エンカルタの打ち切りとかドコモの位置情報サービスとか

最近のニュースを読んで、思うことを幾つか。
マイクロソフトがエンカルタを打ち切るんだとか

Microsoftは、百科事典に関連した事業から手を引き、これまで長きに渡って提供してきた「Encarta」の製品提供を打ち切ることを明らかにした。

世界で最高の権威ある百科辞典のエンサイクロペディア・ブリタニカがオンライン百科辞典に苦戦を強いられているという原稿をずいぶん前に書いた記憶がある。確か2000年ごろだったと思う。紙というメディアをベースにした事業が、オンラインの事業の攻撃には勝てないというような話だった。その勝ち組だったはずのエンカルタが今度は負け組に回った。エンカルタの地位を奪ったのは、言うまでもなくウィキペディアだ。
紙からオンラインへ、オンラインからソーシャルメディアへ。
すべてのメディアはメディア大変革期という過渡期の中をこの順序で移行している。ということはテレビ、雑誌、新聞という従来型メディアの目指すべき方向も自明のはずなんだが・・・。聞こえてくるのは、相変わらずの一方通行のビジネスモデル。まあオンラインに主軸を移そうと考えただけでも進歩かもしれないけど、時代は既にその先を行っているんだよなあ。

もう一件は、ドコモの位置情報サービス

 NTTドコモは3月31日より、携帯電話の位置情報と連動したASPサービス「次ナビ(つぎなび)」を観光業やサービス業などに携わる企業、自治体に向けて提供する。次ナビは、位置情報と連動した情報配信機能、システムの運用、利用者行動分析などのサービスをNTTドコモが提供するというもの。 次ナビの対応キャリアは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社。

モバイルベースのマーケティングプラットフォームを世界に先駆けて構築することで、日本は世界のIT業界をけん引していける。僕は本気でそう考えているし、ぜひがんばってもらいたいと思う。拙著「次世代マーケティングプラットフォーム」の中には、モバイル領域の部分の事例がほとんどないけど、事例は日本の企業がこれからどんどん作っていってくれるんだろう。

それにしてもドコモはこの分野で積極的に仕掛けてきている。イオンと組んでお財布ケータイ機能を活用したマーケティングの仕組みを作ろうとしているみたいだし、自分の趣味嗜好や生活エリアに合わせた情報をタイムリーに配信するiコンシェルジェなるサービスも提供している。まあ本当にコンシェルジェ並みのサービスが可能になるには、まだまだ多くのデータやツールを統合していかないといけないだろうけど、方向性としてはありと思う。モバイル領域でマーケティングプラットフォームを確立することが、次のドコモの成長戦略の核になるような気がする。

この間ケータイをauからソフトバンクに変えたばかりだけど、いろいろなサービスが出始めるのならドコモのケータイも持たないといけなくなるかも、この分野の専門記者としては・・・。時間ができたらドコモを取材してみよう。どの部署のだれに当たればいいのかなあ。

もちろんソフトバンクはもうこの方向に戦略の照準を当てている。ソフトバンクモバイルの幹部の講演資料をみてもそう書いてある。

5.データサービスの将来像
  (1)インターネットアクセスはPCからモバイルへ
  (2)家電と連携する携帯端末
  (3)新しい統合ビジネスモデル

6.グローバルプレイヤーを志向するソフトバンク
  (1)「最初からグローバルコミュニティーの一員であること」が重要
  (2)新型「タイムマシン」としての「中国」を重視
  (3)ソフトバンクはサービスレイヤで世界をリード

サービスレイヤとは、モバイル・マーケティング・プラットフォームのことだ。ソフトバンクにも取材を申し込まないといけないなあ。

キャズムを超えたtwitterはどう変化していくのか

twitterが再び旬になっている。テクノロジー系の人の中には「なんで今また?」と不思議に思っている人が多いようだが、まあキャズムを超えたということなんだと思う。
twitterのfollowerが多い人のトップ10リストをみても、以前はスコーブル氏とか、USのテック系の人たちで占められていたけど、最近はハリウッドスターの名前が入ってきているし。明らかにマスのメディアになったということなんでしょう。
USのマスメディアもtwitterのことを取り上げることが増えているようだし、キャズムを超えたことで正のスパイラルに入ったんだと思う。

さてキャズムを超え、マスのメディアになればどうなるか。

マーケティング施策がいろいろ打たれるようになるんだろう。例えば「ちょっと風邪気味みたい」とつぶやけば、「お大事に。風邪薬の20%オフのクーポンを次のURLからダウンロードできますよ」というレスが薬品メーカーから送られてくるということがUSでは起こり始めているようだ。今はもの珍しいので好意的に見られているようだが、そのうちスパムをどうするかということも問題になるんだと思う。
まあ個人的には、どんなマーケティングのアイデアが出てくるのか楽しみだけど。

行動ターゲティングが拓くターゲットメディアの時代

WBC決勝戦の行われた日、しかも同じ時間帯に開かれた日経ネットマーケティング主催の有料セミナーに参加した。日本中が野球に熱狂している最中なのに、品川にあるカンファレンス会場の大会議室は300人近い参加者でほぼ満席。テーマは「行動ターゲティング」だったのだが、いかにこのテーマに注目が集まっているのかが分かる。

確かに行動ターゲティングは、今最もホットな領域だ。グーグルがUSで行動ターゲティング広告に乗り出したというニュースが流れたばかりだし、3月にユタ州ソルトレークシティで開催されたオムニチュアサミットでは調査会社フォレスターリサーチのアナリストのエミリー・ライリー氏が「行動ターゲティングの新しいツールが次々と出てきているが、一般事業会社の中にはまだこうしたツールを試していないところが多い。先に試して競合他社に差をつけるべきだ」と語っている。

そうかUSでも行動ターゲティングで盛り上がっているのか。

恐らく日米では盛り上がりの起爆剤は違うのだろうけど。日本ではヤフーのインタレストマッチが起爆剤になってこの盛り上がりが生まれたのだろう。USでは、複数の技術系ベンチャー企業が特色のあるツールを次々と出しているようだ。

さて行動ターゲティングが旬なテーマになり、試しに使ってみる一般事業会社が増え、それを見込んで新しいツール、仕組みを開発するベンダーの活動が活発になれば、いずれ技術が成熟してくる。いずれ効果が出るようになる。そうなればどうなるか。

特定の読者層を明確にイメージしたターゲットメディアの時代がくることになる。

行動ターゲット技術を使えば、そうしたターゲットメディアに特定の読者層が実際に集まっている事がデータとして取れるし、そこで広告を打てば効果が高いこともデータではっきりと実証される。そうなればページビュー当たりの広告単価も上昇する。広告収入が増えればメディアとして事業的に成立するようになる。前出のフォレスターのアナリストは、「今後半年から一年で、特定読者層をターゲットしたページやサイトの価値が上昇するだろうから、早い時点でこうしたサイトを押さえておくことが重要」と語っている。メディア事業者のほうも、こうした時代の流れを踏まえてターゲットメディア作りを急ぐべきだろう。

実はこうした時代になることは早い時点で実は分かっていて、インフォバーンの小林弘人さんなどは、2006年9月にわたしのインタビューに答えて「マジックミドルを狙ったターゲットメディア作りが重要」と語っている。
行動ターゲティング技術が効果を出すようになり、ターゲットメディアの成功事例が出始めると、不況にあえぐ出版業界を始めとするメディア業界はいっせいにオンラインのターゲットメディア事業に乗りだすことだろう。しかし、この場合は先手必勝ルールが当てはまるような気がする。最初からしっかりとしたビジョンを持って明確にターゲットした読者層をつかんできたメディアサイトを、猿真似の後発サイトが追い抜くことはかなりしいと思う。

検索連動型広告がグーグルを成長させ、SEOを取り込んだサイト、事業者を成功させたが、次に行動ターゲティング広告が無数のターゲットメディアを育てるのだ。新しい広告テクノロジーが新しいメディアを生んで育てていくわけだ。

それでは行動ターゲティングの次に、どのような広告技術がどのようなメディアを生み、育てるのか。
世界のテクノロジー企業の動向を見ていると、ソーシャル広告がホットな研究開発領域であることが分かる。人と人との人間関係をベースにした情報流通、物販の新しいカタチの開発に多くのリソースが注がれているようだ。いずれ何らかのソーシャル広告の技術が確立することだろう。そうなればメディアのカタチは、コミュニティをベースにしたものに変化していくことだろう。これを見込んで、ターゲティングされたコミュニティ作りが、メディア企業が今日取り組むべきことである。

残念ながら、わたしの所属するメディア業界はインターネットがつながりのメディアであるという特性を理解せずに、従来からのメディアのカタチをそのままネット上で再現することしか頭にないようだが・・・。

一月限定の講演、今年もします

昨年実施して好評だった「一月間限定で講演します!」宣言。今年もやりたいと思います。
条件は以下の通り
(1)祝日、休日はご勘弁ください
(2)期間は6月の一月間だけ
(3)対象は起業を目指す地方の若者やエンジニア
(4)旅費などの必要経費はご負担ください

上の条件をクリアできるご依頼なら、講演料はいくらでもだいじょうぶ。熱意を持った若者相手なら講演料なしでもOKです。高校や工業専門学校、大学、企業の若手社員の私的勉強会などを想定しています。情報デジタル産業が今後どのように変化していくのか、どの領域に夢を賭けるのが最もチャンスがあるのか、など、やる気いっぱいの地方の若者を元気にするような講演をしたいと思っています。都内の講演依頼はご遠慮ください。

わたしもサラリーマンなんで何日も休みを取ることはできません。あまりに多くのご依頼をいただいた場合はお断りするか、別の月にリスケジュールをお願いする場合もあります。

連絡はtsuruaki@nifty.comまで

中国ケータイ業界の現状-フラクタリスト田中祐介氏の講演から

3月13日(金)にブロードバンド推進協議会のイベント「世界のコンテンツ提携事情、水平分業型ポラットフォームのビジネスの可能性」を取材した。その中で、株式会社フラクタリストの田中祐介氏の講演が面白かったので、感想抜きの取材メモを公開します。

会場:東京港区・東京グランドホテル
演題:第3世代携帯電話のはじまった中国市場におけるモバイルデータサービスの展望

フラクタリストについて
日本のモバイルソリューション、モバイルマーケティングの会社 2000年から事業を展開
世界的に進んでいる日本の技術、ビジネスモデル、コンテンツを、世界最大の市場になるであろう中国市場で花開かせるべくフラクタリスト・チャイナという関連会社、もともとは子会社を、2003年に設立。中国市場で約6年ほど事業を展開

【中国のモバイル市場について】

ヨーロッパと比べて進んでいるわけではないが、市場としては大きい。中国は世界最大のケータイ人口を持つ国。
今は中国のケータイ利用者は6.05億人(データはiResearch inc)
1999年、2000年が日本のモバイルインターネット元年といわれるが、そのとき中国には2000万人しかケータイ利用者がいなかった。
ケータイユーザーが、高い成長率で順調に伸びていっている。昨年一年でも約5000万人以上のユーザーの伸びを示している。
人口が13億人だから、まだまだ成長の可能性がある市場。
ただ6億人という数字から、中国の半数がケータイを利用しているのかというと、そうでもない。「スマートフォン1台とケータイ1台」というように一人で複数持っているケースもある。人口の残りの半分はケータイを持つ経済的余裕がない層だという意見もあるが、とはいえまだまだ成長の余地が残っている市場と考えて間違いない。

【中国モバイル業界が3キャリア体制に】

昨年からキャリアの環境が再編されている。これまでケータイ事業は、チャイナモバイルとチャイナユニコムの2社が展開していた。特にチャイナモバイルがガリバーとして市場を席巻してきた。
そうした中、競争を加速させ市場活性化させようということから、業界再編が行われた。特に第3世代ケータイではデータ通信サービスが普及のポイントになってくるということで、政府もいろいろな思惑の中で、ケータイ系の通信事業者と固定系の通信事業者をシャッフルする形で3キャリア体制に再編した。
固定電話の加入者が減少する方向にある中でケータイ事業も展開していかないと成長できないという切迫感もある。またチャイナモバイルが一人勝ちしている状況もあったので、ここに新たな参加者を入れることで、あえて競争させていこう、ということが基本的な考え方だろう。
具 体的には、チャイナモバイルがチャイナレルコムという固定系事業者を買収。一方中国南部を中心とする固定電話の事業者だったチャイナテレコムは、チャイナ ユニコムがやっていたCDMAサービスを統合することで、ケータイと固定の両方の事業を展開していくことになった。またチャイナユニコムはCDMAと GSMの両方をやってきたのだが、CDMAをチャイナテレコムに譲渡する一方で、中国北部の固定電話事業者のチャイナネットコムを統合した。


チャイナモバイル
=チャイナモバイル(ケータイ) + チャイナレルコム(固定・ADSL)

チャイナテレコム
=チャイナテレコム(中国南部の固定・ADSL) + チャイナユニコムのCDMA事業(ケータイ) + 中国衛通(衛星)

チャイナユニコム
=チャイナユニコムのGSM事業(ケータイ) + チャイナネットコム(中国北部の固定・ADSL)


【中国独自規格TD-SCDMA

2008年の北京オリンピックにぶつけるべく、中国独自規格の3G「TD-SCDMA」というインフラを試験的に開始した。チャイナモバイルがサービスを提供し、 北京、上海、天津、広州、シンセンなど8都市で展開している。中国の市場という大きな市場の中で最大手であるチャイナモバイルが採用することでグローバル市場でもそれなりの端末台数を見込める、つまり中国の国産技術が世界的に影響力を持つ結果になるのではないか、と政府も期待し、国策的に普及を進めている TD-SCDMAだが、2009年一月の3Gライセンス発給では、この規格を他のキャリアに適応させることにはならなかった。
具体的には、チャイナユニコムがW-CDMAで5月から252個所で、チャイナテレコムが、auのCDMA-1の延長であるCDMA2000で北京などで展開することになった。

なぜTD-SCDMA1本でいかかったのだろうか。中国政府にはTD-SCDMAを普及させたいという思いはあるのだろうが、ただ技術的成熟度や安定度と いう面で不安が残る。だからW-CDMAやCDMA2000も同時にライセンスを発給したのかもしれない。TD-SCDMAに関しては、政府がTD-SCDMAを今後どの程度支援するのかに懸かっている。

チャイナモバイル  TD-SCDMA
チャイナテレコム    CDMA2000
チャイナユニコム  W-CDMA

中国でiPhoneはどのキャリアからでるのか、と話題になっているが、iPhoneはW-CDMAを採用した端末であることから、チャイナユニコムを有力視する声が強まっている。


iResearch によると、中国3キャリアのケータイ市場のユーザー数ベースでの占有率は、チャイナモバイルが64.3%、チャイナユニコム、23.7%、チャイナテレコ ム12.0%となっている。チャイナテレコムのシェアは、チャイナユニコムのCDMA事業を受けたもの。
チャイナテレコムはこれまで固定事業しかやってこなかったが、今はかなり積極的にデータサービスを活かした事業展開を目指しているし、チャイナモバイルとチャイナユニコムのGSMが今後第3世代に移行していく中で、どういう立ちあがりを見せるのかが注目されるところだ。

2009年一月に政府として第3世代ケータイのライセンスを正式発給したので、現在はモバイルインターネットはそれなりに使える環境にあるのだが、2.5世代といわれるようなGSMの通信インフラの上でデータサービスを提供するビジネスがまだ主流。政府系の一部の人以外で、第3世代ケータイを持っている人にまだ 会ったことがない。

まだ第3世代の市場が存在していないということを前提で話をすると、中国のモバイルコンテンツ課金市場はばかにできないくらいの規模がある。2007年でも1000億人民元だから日本円にすると一兆円以上(今の為替レートなら一兆4000億円)。統計データによって開き があるが、iResearchによると、そういうことになる。
日本のモバイルインターネットの使い方は、ブラウザでアクセスしてからアプリなどを ダウンロードするという形が主流だが、中国では課金のプラットフォームとしてショートメッセージ(SMS)を使うことが依然として主流。2007年ではこれが70%くらい。具体的には、PCサイト上でコンテンツを紹介して、ケータイの電話番号とパスワードを入力するとSMSでコンテンツを受け取れるという 仕組みになっている。
ブラウザベースの課金は、最近ではだんだん主流になりつつあるものの、まだだれもが使っているという状況ではない。
売 れ筋のコンテンツ的としては、第2世代時代の日本のコンテンツビジネスと似ているところがある。着メロ、待ちうけ画像、占いといったコンテンツが牽引役。 中国の場合も、着メロを中心に伸びてきている。2.5世代なので日本にあるようなデータ容量の大きなゲームや電子書籍などは提供できないが、JAVAのアプリのダウンロードのプラットフォームはあるので徐々には伸びてきている。日本と少し違うところはリングバックトーン。最近は日本も伸びてきているという 話を聞くが、着メロ以上にRリングバックトーンのユーザーが多い。2008年の第1・四半期で既に一億6000万人ぐらいの人がリングバックトーンを利用 している。中国で電話をかけるとかなりの人がリングバックトーンを実際に使っている感触はある。
ブラウザベースの市場は、4半期ベースで30億元くらい、日本円にして500億円くらいの市場規模。年間ベースで2000億円くらいの市場ができあがっている。
日本のブラウザベースの市場に比べれば、小さいともいえるが、一方で2000億円もあるという考え方もできる。

【フラクタリストの中国での歩み

フ ラクタリストは、中国でフラクタリストチャイナという会社を作って活動している。フラクタリストチャイナは2003年創業。当時は今よりもさらにブラウザ ベースのサービスが少なく、ショートメッセージ中心の市場だった。その中で日本企業は、i-modeで成功した公式サイトを中国に持っていこうとしたが、 2003年から2005年くらいに進出していった会社はほとんどすべてが撤退を余儀なくされた。参入する時期が早すぎたのだと思う。テキストベースのコンテンツでは、現地のプレーヤーと比較してアドバンテージを出しづらかった。日本でよほど優れたものを作って持っていかないと、現地との差別化につながらな かったということだろう。
そんな中、われわれは最初、コンテンツのアグリゲーションを考えたが、時期尚早と判断し、コンテンツという文化的違いを 気にせず日本の成功事例を持っていくにはどうすればいいかということで、切り口をモバイルマーケティングに変えることに決めた。モバイルマーケティング事 業で、中国で一番成果を上げる会社を目指そうと考えたわけだ。
そのころ既に日本ではモバイルキャンペーンが盛んになってきていた。懸賞で何か応募 する際にポスターなどに印刷されたQRコードをケータイで読み込んでサイトにアクセスするというキャンペーンが出回り始めたころだった。2001年から2002年ごろだと思う。キリンが「ネットで ファイア」というキャンペーンを行ったのが有名。
フラクタリストは、このモデルを中国でいち早く展開した。コカコーラなど主に飲料メーカー中心に 販促キャンペーンを支援した。日本では、販促や、メルマガなどでロイヤリティーを持ってもらうということがこの手のキャンペーンの目的だが、中国ではシリ アル型のキャンペーンをする別のメリットがある。中国では模倣品が氾濫しているといわれることがあるが、そんな中で商品にシリアル番号を振り、ケータイでないと応募できない、といことにした。シリアル番号は真似のしようがないので、模倣品の排除が可能になった。もう1点は、日本だと流通がかなり整備されて いるので、どの商品がどの地域で売れているかなど、メーカー側でサプライチェーンの状況を把握きるが、中国の場合、省ごとに商品をおろしていっても、ど のタイミングでどこの消費者に届いているのか、なかなか分かりづらい。ところがこの手のキャンペーンを打つと、商品を買った人がすぐにショートメッセージ を送ってくる。どこで、いつ、どれくらい売れているか、ということをだいたい把握できるというメリットがあるわけだ。

いずれ中国でも ショートメッセージ中心の利用に加え、モバイルサイトの利用も増えてくるだろうということで、中国ナンバーワンのキャリアであるチャイナモバイルに 2005年にアプローチし、チャイナモバイルのポータルサイトの広告枠の販売を一手に引き受けることに成功した。つまりキャリアレップになったわけだ。日 本でいうところのD2コミュニケーション、メディーバのような存在だ。キャリアの持っているポータルの広告枠を商品化するのが仕事。キャリアポータルは ユーザー流入の重要な経路、ここをまず押さえておこうと考えたわけだ。
世界最大のユーザー数を持つチャイナモバイルがなぜフラクタリストチャイナのようなベンチャー企業とキャリアレップ契約を結んだのだろうか。
そ れはショートメッセージでさんざんキャンペーンをやって、アクセスを集めるノウハウを蓄積してきたからだ。コカコーラのキャンペーンで2億本のキャンペー ンを打つとだいたい5%ぐらいがシリアルキャンペーンに応募する。二億本だとだいたい1000万通のショートメッセージが寄せられる、ということを知って いた。
特段強いコンテンツを持っているわけではないのに、ものすごいトラフィックをもたらす会社として興味を持ってもらえたのだと思う。リアルのキャンペーンからの誘導のノウハウが評価されたのだろう。
日本のようにキャリアがリスクをって端末を全部買い上げる統合された仕組みと違って、中国のようなGSMの世界では端末メーカーは端末メーカーの独自仕様 を持っていて、キャリアのポータルが必ずしもワンクリックでアクセスできるようになっていない。パケット通信を始めるにあたって、いろいろな設定が必要な 場合もある。こういった環境の中で、リアルの日々の行動の中からモバイルインターネットを使ってもらえるためのきっかけ作りができるのではないか、と期待 されて契約を結ぶことになったわけだ。
現在の業務は、プロモーションノウハウの提供と、チャイナモバイルのサイトの中のアドサーバー、アドテクノロジーの提供。そういう形での媒体開発を共同で行っている。
フラクタリストチャイナは小さな会社なんで、大きな広告主にアプローチするには提携代理店を通じて販売している。いわゆるレップとしての販売だ。
ただ広告主に直接アプローチするケースもある。これはモバイル広告自体が、日本ほど認知されていないから、われわれのような専業の会社がアプローチしないとモバイル広告を始めてもらえないからだ。まだまだ労力が必要だ。
チャイナユニコムとも、独占契約ではないが、キャリアレップ事業の2社のうちの一社のパートナーになっている。つまりフラクタリストを通じれば、中国のケータイユーザーのほぼすべてにリーチできるようになっている。

【SIMカードでターゲティング

ユーザーのターゲットを絞った形のマーケティングも積極的に展開している。
各 キャリアがSIMカードを販売しているのだが、SIMカードの番号が省ごとに分かれている。性別、年齢、ARPUも分かる。こういったデータを活用してあ る一定層に対してターゲット広告を打ったり、ロケーションを北京、上海だけに絞って広告を打つといったデータベースマーケティングのようなことができる。

【ケータイを持っているのは富裕層】

GSMの市場ではハンドセットのメーカーが提供しているポータルを見過ごせない。中国はメーカーとしてノキアが大きなシェアを持っていて、ノキアの提供するポータルも影響力が大きい。フラクタリストは、ノキアのポータルの広告枠も取扱額でナンバーワンになっている。
これから徐々に伸びていくとみられているのは「フリーWAPサイト」と中国で呼ばれている、いわゆる「勝手サイト」。フラクタリストは、勝手サイトにはアドネットワークを提供することで広告を販売している。
で は、中国ではどんな業種の広告主が、モバイル広告を出すのか。業種別にみて一番大きな広告主は、自動車メーカー。なぜならケータイを持っている人は、自動 車購入層に近い層だと思われているし、そういった富裕層にリーチできる全国的カバレッジがあるメディアがケータイ以外にあまりないからだ。
そうい う意味で、日本のモバイル広告の状況とはかなり違う。全業種のシェアでいうと20%くらいが自動車メーカーからの出稿。それから、金融で15%。オンラインバンキングや、オンライン証券事業者など。明確に効果測定ができるので、モバイル広告の活用 を始めているようだ。それに化粧品、ケータイ端末を中心としたIT、飲料と続く。
キャリアポータル内では、コンテンツプロバイダーの広告を流すこ とが許されていない。広告にお金をたくさん払えるCPのコンテンツをランキングの上位に表示するのはいかがなものか、という考え方があるからだ。というこ とで、コンテンツプロバイダーの広告がそう多くない。ただ勝手サイトの中にはアフィリエイトでユーザーを集めるところも出始めている。

【今後の展望】

日本のモバイルコンテンツの事業が中国に進出してもいい時期になったと考えている。3Gになると、ゲームなど高度なコンテンツを持っていける。2.5Gの ケータイサイトのユーザーは8000万人から1億人。6億人中の一億人なので、まだまだ少ない。これから上がっていくことは間違いないだろう。
リスクは、ICPライセンスを始めとする許認可 制のライセンスを取得しないと、キャリアの公式サイトに応募できない。中国がWTO加盟してからは、ライセンスは外資企業にも徐々に認められるようになっ てきているが、運用面では外資系ということで審査に時間がかかったりしている。また課金ビジネスを展開するには、ICPライセンスだけではだめで課金ライ センスが必要になる。そのライセンスは現地の会社でないとまだまだ取れなかったりする。もしくは最低資本金が1000万人民元、つまり1,5億円くらいな いとライセンスを取得できない。日本企業にとって、ちょっとハードルが高いといえる。そのライセンスを取得したうえで、初めてキャリアに対し公式サイトの 申請を行うことができる。また申請してもキャリアごとに厳しい審査を受けなければならない。
現地のコンテンツプロバイダーに委託するケースも多く見られるが、本当にプロモーションしてもらえるのか、信頼できるパートナーなのか、などの不安もある。
そこでフラクタリストでは、優れたコンテンツを持つ日本のコンテンツプロバイダーの中国進出支援の事業に昨年から乗り出している

以上

感想抜きと言ったけど、ちょっと感想。
一年間に5000万人も利用者が増えつづけているって、すごい市場。毎年、日本のケータイ人口くらいが増えつづけているんだから
ま たSIMカードで属性を判断して、ターゲティング広告が打てるのもおもしろい。日本ではこんなこと可能なんだろうか。法律で縛りがあるのか、それとも事業 者自体で「通信事業者として広告業務をするのはいかがなものか」と縛りをかけているのか。モバイルは、PC、サイネージを超える可能性を持つメディア。ま あ通信事業者がSIMでターゲティングしなくても、その上のレイヤーのサービスプロバイダーが各主データを取ってターゲティングするようになるんだろけ ど。admobのヒロさんは、自分たちのほうがキャリアよりも有効なデータを取れるって言っていたし
あと、日本のケータイは若年層から一般ユーザー全体に広がりつつある中、依然として中高生のパワー全開のメディアなんだけど、中国ではまず富裕層から、というところも面白い。

この時期に初心者向け「ネット広告ハンドブック」を出す意味

 ネット広告大手のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)からネット広告ハンドブック という本が贈られてきた。本の中の「はじめに」を、著者を代表してDACの徳久昭彦さんが「本書が、次の世代を担う方々が新たな広告手法を生み出すきっかけとなれば幸いです」と書いている。徳久さんは拙著爆発するソーシャルメディア の中にも、僕と中華料理をつついた仲として登場してくれている(笑)が、この分野で日本で最先端の情報を持っている専門家の一人だ。
 日本でも最先端の人物が書いている本だから、さぞ難しいことが書いてあるんだろうと思ってペラペラめくってみると、部外者の僕にでも非常に分かりやすく書いてある。「どうしてこの時期にこのような初心者向けとも言える本を出したのだろう」とクビを傾げた。

 で思ったんだけど、この時期だからこそ、こうした本に対するニーズが高まっているんだろうな。最近でも広告主企業の人たちと話す機会が多いのだけど、新年度からマス広告費が削減されるという話を耳にすることが増えてきた。その代わりにネット広告を試してみたいという人が多い。
 今まではネット広告は専門的過ぎるためネット広告専門の代理店に丸投げしている広告主企業が多かったようだが、どうやらそうも言ってられない状況らしい。社内にネット広告の専門家を育成しようという動きが出てきた、という話が聞こえてくるるようになった。
 この本は、そうした広告主企業内でネット広告担当になった人たちが読んで、ちょうどいいレベルの話になっている。
 やっぱりそれくらい大変な時期に差しかかっているんだろうな、としみじみと思う。新年度からのメディア不況は、今年度下期の比ではないのだろう。新しい時代を切り開く人々の支援をライフワークにしたいと思いながらも、古い時代に属する業種に今でも身を置く自分にとって、いよいよもって複雑な状況になってきた。
 ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア という本を出してから5年。自分の鳴らした警鐘は、いったいだれに届いたのだろうか。

「情報の出し手は1%」は本当なのか

昔から言われていることだけど、「情報を発信する人は全体の1%。残りの99%は情報を受け取るだけ」という1%ルールって本当だろうか。ウィキペディアの投稿者と利用者の比率を歴史的に見てもこの1%ルールが当てはまるという。(英文ブログ
最近、アメリカの資料を見ていたら、今でも1%ルールを主張している人がいた。

確かにPCベースのユーザーで、年齢層の高い人たちを見れば、このルールが当てはまるのかもしれない。日本でもアメリカでも。
でも、日本の10代のケータイユーザーを見ていると、ほとんど全員が情報を受け取るのと同時に情報発信しているんじゃないのか。
人間って本来、情報を発信したい生き物なんじゃないのかなあ。情報を発信する、自分を表現するってことが、生きるってことの1つの側面じゃないのか?

1%ルールって、情報発信の敷居の高い場合だけに当てはまるんじゃないのか。日展に応募する人がごく一部しかいないことを例にとって、「日本人は絵を描くのが好きじゃない」と言っているようなものじゃないのか。幼稚園に行って「お絵かきが好きなお友達、手を挙げて」と言えば、ほとんどの園児が手を挙げると思う。

情報発信しやすいように敷居を下げることが、新しいツールやサービス、ビジネスを作っていくうえで大事なんじゃないだろうか。「情報を発信するツールに慣れた人の割合が今後ますます増えるのは間違いない。1%ルールなんてウソっぱちだ」ぐらいに考えることが、大事なんじゃないのかなあ。

「ほとんどの人間は情報を受け取るだけで、発信しない」と頑なに言い続ける人に言いたい。「あなたの周りではね」と。「これからの時代、みんながあなたとあなたの周辺の人間みたいだと思ったら大間違いですよ」と言いたい。

やべ。特定の業種の人たちを想定して愚痴ってしまった。