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「インフォコモンズ」(佐々木俊尚著)の読み方

 わたしの会社に対する帰属意識が薄れてきたのは、いつからだろう。10年ほど前は自分のアイデンティティの中核をなしていたのが、自分の職業であり、自分の会社だった。同僚と酒をくみ交わしジャーナリズムに関する議論を繰り返すことが、何よりも楽しかった。
 今は同じ会社の人や業界関係者と飲みに行くことはほとんどない。昼食もほとんど毎日一人で食べる。仕事で修羅場を一緒にくぐり抜けた先輩や仲間は、一人また一人といなくなり、会社に友と呼べる人がほとんどいなくなった。
 どうしてこうなったのだろう。よく分からない。自称「大物ジャーナリスト」に幻滅したからなのかもしれない。ジャーナリズムを語ることに興味を失ったからからなのかもしれない。

 自分のアイデンティティの核が一つなくなったのである。家族というアイデンティティの核が残ったのでなんとか心の平安を保てたが、それにしても大きな喪失感、不安感、孤独感をここ何年かで感じてきた。
 佐々木俊尚氏の近著「インフォコモンズ」では、リストラなどで会社への帰属意識を失う例が挙げられていたが、わたしは幻滅という形で職業への帰属意識をなくしたのかもしれない。
 ぽっかりと開いたアイデンティティの穴をインフォコモンズという情報を核にした人間のつながりが埋めるようになると、佐々木氏は予言する。人間の帰属意識の対象が血縁、地縁、会社から、情報を核にしたグループに移行するというわけだ。


 社会から接続を絶たれ、身震いするほどの冷たい孤独がそこには存在していた。この暗く冷たい世界の中で、どうさまよっていけば、熱いたき火と寝心地の良い寝袋、そして理解し合える仲間のいるキャンプ地にたどりつくことができるのか。
 インフォコモンズ(情報共有権)の生み出す新たな世界は、すべての他人、すべての情報、すべてのオブジェクト、そしてすべての世界が、情報を軸とした相関関係によってひとりの個人の視野の中でなめらかにつながり、ひとつの視野の中に入ってくる。
 それは新たな仲間、新たな友人、新たな共同体を生み出す。その共同体はきわめてクリアに、スタインバーグの絵のように遠くまで可視化されている。
 その時世界は、晴れ上がるのだ。

 この予言は少なくともわたしに関しては既に現実のものになっている。わたしのアイデンティティの核は既にインフォコモンズに移行しているのだ。4つのSNS的サービスのおかげで。
 わたしは今4つのインフォコモンズを持っている。1つは、このブログを通じた読者とのつながり。2つ目は、twitterを通じたつながり。3つ目は、Mixiのマイミクとのつながり。4つ目は、timelogを通じたつながり、である。それぞれのインフォコモンズの規模は約1万人、百数十人、数十人、30人ぐらい。公に向けた発言かプライベートな発言か、そしてそれが長いまとまった文章か、短いつぶやきか、という4つのマトリックスに分けて、インフォコモンズを使い分けているのである。
 それぞれのインフォコモンズは、確かにわたしに心の平安を与えてくれるようになっている。
 今年に入って「動画人」「広告系ブロガー新年会」などというイベントに参加して思ったのは、こうしたイベントはインフォコモンズが核になっているので、他に類を見ないような盛り上がりを見せるのだろう。どんな飲み会よりも熱気があり、楽しかった。
 佐々木氏は「ひとりのユーザーがいくつものSNSに加入するような面倒さを引き受けられるのか?という問題もある」と指摘しているが、少なくともわたしに関してはそれほど面倒とは思えなかった。
 職業という1つの共同体を失ったつらさに比べれば、SNSに加入する面倒さなど、何の問題でもなかった。恐らく加入が面倒であったり、参加しても積極的に活動しない人たちは、今自分が持っている共同体に十分満足しているからだけではないだろうか。
 これからの社会を生きるものすべてがインフォコモンズに属するわけでもないと思う。これまで通り、血縁、地縁、企業社会、学生時代の仲間などの共同体でうまく生きていければ、それにこしたことはない。大都市中心の時代になり地縁の共同体で生きて行けなくなった一部、もしくは多くの人が企業社会の共同体で心の平安を得たように、終身雇用制が崩壊し企業社会の共同体を持てなくなった一部、もしくは多くの人がインフォコモンズを求めるようになるのだろう。
 それぞれがそれぞれのペースで新しい共同体を探し求めていけばいいのだろうし、捜し求める人にとっては加入する面倒さはまったく問題にならないハードルだろうと思う。
 佐々木氏の本から得ることができるは、「これからの社会は情報を核にした共同体を心の拠り所にする人が増える」という指摘である。
 わたしは佐々木氏のコモンズの定義が間違っているのかどうかは知らない。知らないし、興味もない。新しい時代の現象を完璧な定義の言葉で表現することなど、ほとんど不可能である。多少の誤解を生みながらも、過去にある言葉を借用するしか議論は前に進まないものだ。枝葉末節にとらわれずに、佐々木氏の最も大事にするメッセージを受け取ることができる読者は幸福である。
 さて佐々木氏が次の時代を俯瞰したあとに、次にしなければならないのは、そうした社会にはどのような仕組みが必要になってくるのか、という議論である。そのような社会において、どのようなビジネススキームが成立するのか、ということを考える人も出てくることだろう。

秋に2冊の本が出ます

 やっと書き終えた。フー。
 コード名「広報本」「広告本」の2冊です。
 「広報本」は時事通信社出版局から秋口に出版されます。正式名は未定です。テレビ局や新聞社の広告収入が低下し始めるなどメディアがいよいよ激変期に突入しそうな兆しなんですが、その中で広報担当者はどうするべきか、ということがテーマです。
 江戸川大学の濱田先生、ネットイヤーの石黒さん、ニューズ・ツー・ユーの神原さん、プラスアルファの鈴村さんとの共著です。僕は編著者。生まれて初めて編集者の真似事をしました。いやー編集者って結構大変な仕事ですね。

 2つ目の「広告本」は僕の単著になります。昨年秋からグーグルvs電通という切り口で取材をしてきたんですが、米国取材を経て切り口を180度変更しました。新しい切り口は、講演や雑誌寄稿という形で一部公表してきましたが、それを本にまとめたものです。
 こちらのほうもタイトルは未定なんですが、「20世紀型広告の終焉=台頭するマーケティングプラットホーム」的なものになるのではないかと思っています。自分的には結構いい本になったのではないかと思っています。取材に協力していただいたみなさま、本当にありがとうございました。
 本を書くのって大変だけど、楽しいなあ。一生、こういう風に生きていきたい。がんばらなければ・・・。

EeePC901がすご過ぎる件

 自分自身工人舎を買って結構満足しているし、EeePCより工人舎のほうが絶対にいいって書いたんだけど、EeePC901ってすご過ぎる気が・・・。ひょっとしてもう少し待ってからミニノートを買ったほうがよかったのか。そういえばどこかの雑誌にミニノートは夏以降ATOMが出てから買ったほうがいいって書いてたっけ。
 本日より、2、3日、EeePC901を使い倒す予定。会社のサイトの企画でiPhoneレビューが結構評判よかったということで、引き続き、いろいろなガジェットのレビューをすることになった。iPhoneの次はミニノートということで、HP、EeePC、工人舎、D4と実機を試すことになった。なんていい仕事なんだ。なんていい会社なんだ。というより担当の土屋くん、ありがとう。
 で、ちょっと触ってみた感想はというと、ちょっとヤバイ。EeePCの問題点だったディスクの容量のなさがある程度改良されているし、見た目も結構おされになっている。

 20ギガのオンラインストレージも無料で使えるとかいう話だし、これはネットPCとしてはほぼ完成の域に達したんじゃないか。
 HPのミニノートもコストパフォーマンスは高いんだけど、ちょっと重いので、ガンガンモバイル派のセカンドマシンとしてはEeePCのほうがいいんじゃないか。低価格のメインマシンとして使うならHPなんだろうけど。
 2、3日試してみて、レビューを時事ドットコムに書きますので、お楽しみに!

iPhone連載「地図編」

 会社のサイト上で連載しているiPhoneコラムですが、3本目がアップされました。

湯川鶴章のコラム「iPhone、一般ビジネスマンにとって、その価値は?」
第3回 猛暑の中、iPhoneの地図アプリを試してみた

 こんなくだけた原稿でも会社のサイトに載せてもらえるんだ。ちょっとびっくり。

おもしろくなりたい!

笑福亭鶴瓶さんがよく「おもろくなりたい!」と絶叫していた。僕も単調な毎日は耐えられないほうなので、何かおもしろいことはないか探している。仕事も、とにかくおもしろことをしたいといつも考えている。で、「デイリーポータルZ」のウェブマスター林雄司さんのインタビュー記事を読んで、感動しました。こんなふうになりたい。

なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? (瀧口範子著)

なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? (瀧口範子著)を読んだ。
瀧口さんとは10年以上もおつきあいさせていただいている。なので僕自身は、懐かしい友人からの近況報告という感じでこの本を楽しく読めた。
でも一般的読者はこの本から何をつかむべきなのだろうか。何を学ぶべきなんだろうか。
シリコンバレーは、世界中の他の場所とは明らかに異なる雰囲気、ルール、考え方で支配されている。そのことはこの本を読めば明らかだ。
しかし「へーそうなんだ」ということ以外に、この本が伝えるシリコンバレーの現状から、われわれは何を得ればいいのだろうか。
得ることは何もないのではなかろうか。得るものがないと思えるほどに、日本とシリコンバレーは明らかに大きく異なる。どちらも2008年の「今」を進行中であるにもかかわらず、まるで歴史の違う時代を生きているような錯覚にさえ陥る。
しかし確実にシリコンバレーは21世紀の、情報化時代の産業の中心地になりつつある。21世紀の世界の産業がシリコンバレーを核に回っていくであろうことは、ほぼ確定したのではないだろうか。
一時はシリコンバレーのような先端技術の集積地を日本に作ろうと考える人たちがいた。日本だけではない。世界中の先進国が自国版シリコンバレーを作ろうと躍起になった。しかし、シリコンバレーと肩を並べるような成功事例は一つも出てこなかった。

シリコンバレーは、先端技術の「太陽」になったのだ。世界中の優秀な人材や資金、知識は、すべてこの太陽に引き付けられ始めたのだ。

太陽は1つでいい。だからどの先進国も自国版シリコンバレーを作れなかった。

シリコンバレー的なものを自国に作れないのであれば、どうすればいいのだろう。
インドや台湾、中国は、シリコンバレーという太陽を核に回る惑星のような地位をつかんだ。シリコンバレーという太陽とともに、インド、台湾、中国は成長していくのだろう。
日本はどうすればいいんだろう。

日本の戦略が見えてこない。

行楽のお供としてのiPhone-jiji.com

ということで会社のサイトに原稿を書きました。あくまでもnon-techie向けということで、はてブで評価されることは絶対にないだろうなというような記事ですが・・・。
湯川鶴章のコラム「iPhone、一般ビジネスマンにとって、その価値は?」
第2回 家族との週末で大活躍、ただし電池切れに

窓際社員としては少しでも社に貢献できてうれしい。いや、ほんとに。

iPhone入手しました!

発売されても見送るとか、日本でiPhoneはお勧めできないとか、いい加減なことばかり言ってましたが、本日、発売日に入手しました。
といっても買ったのではなくて、会社がソフトバンクから取材用に借りたもの。だれが記事を書くのかということになり、僕に白羽の矢がブスリと。(実はうれしかったりして)
その代わり、2週間ほどに渡って何本か書かないといけないようです。
「ガジェット好きな人向けではなく、一般ビジネスマン向け原稿を」といわれたので、こんな原稿になりました。ガジェット好きな僕なのに、これはちょっと難しいリクエストであります。
それで動画なんかも撮られてしまって、会社のニュースサイトに僕の顔写真が出ていたり、暑い中、むさくるしい顔を出して申し訳ありません。動画何本あるんだろう。だれが僕の顔ばかり見るというのか。

追記:ゲッ今見ると9本もアップされている!

ニコニコ大会議に見るメディアビジネスの未来

 メディアとはコミュニティのことである。
 もう何年もそう考えてきた。コンテンツが格納されたデータベースを核に人が集い、集った人が発信する情報がコンテンツの付加価値なる。集った人に対しては、ウェブだけではなく、紙やケータイ、リアルのイベンドなど、あらゆるものでリーチする。リーチできるものはすべてメディアとなり、メディア上では広告、物販、課金、寄付のうち、もっとも適したマネタイズ手法が展開される。そう思ってきた。
 メディアを紙や電波、ネットのみととらえ、コンテンツは販売するもの、という発想から脱却しない限り既存のメディア企業に未来はない、と業界関係者を相手に主張し続けてきた。残念ながらほとんど理解してもらえていないのが現状かも知れないけれど。

 そんな中、ドワンゴが主催した「ニコニコ大会議2008」に集まったニコニコ動画ファンのコミュニティの熱い熱気は、ほんとうにうらやましい。これこそこれからのメディアの形なんだろうと思う。
 MarkeZineがフォトレポートで報じているが、会場では「ひろゆき」のうちわまで販売されていたようで、ちょっとしたアイドルコンサートの雰囲気だ。
 「CDで聞いてみて。~ニコニコ動画せれくちょん~」という音楽CDまで発売したのだそうだ。
 元NTTドコモの夏野剛氏が、ドワンゴの顧問に就任するのだという。ドワンゴのパワーはますます加速していくのだろうか。

参考記事:コミュニティがメディア消費の形を激変させる」-米crunchyrollに見るビデオ視聴の未来

P.S. ニコニコ動画せれくちょんには、「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」「思い出はおっくせんまん! 」などの曲も含まれている。結構ほしいかも。

クラウドと口コミに関するビジネスチャンス2件

 昨日「クラウドコンピューティングは連携の時代へ」というエントリを書いて、MarkeZineに「クチコミマーケは専門業者に委託すれば吉とでる!?」という記事を寄稿した。両方の記事を書きながら、こうした話の周辺にビジネスチャンスが結構あるんじゃないかと考えていた。

 アマゾン、グーグル、salesforceなど提供するクラウドコンピューティングというのは、いわばOSのようなものになるのだろうな、と思う。security、reliability、scalebilityなどの共通機能部分は、すべてプラットホーム提供事業者に任せておいて、その上で自分の得意領域のシステムを作り、安価なSaaSとして提供する、というのが、これからのビジネスモデルの1つになるのだろう。

 どの程度安価になるんだろうなあ。いろんなシステムが安価で利用できるようになり、事業者はシステム的なことをまったく心配しなくていいようになるだろう。 中小、零細企業や個人事業主のビジネスが今後大きく変わっていくのだろうな。旅行会社向けや歯医者向け、診療所向けシステムが安価なSaaSで利用できるようになれば、消費者に とってもメリットがあるように思う。社内のすみずみまでITを通じた業務変革が可能になるのであれば、それはとても有意義なことだと思う。

 もう一方のクチコミの話も面白い。ショッピングというのは、一人で生活必需品を買うという行為以外だと、結構ソーシャルな行為だと思う。友人やカップルで買い物をするというのは楽しいものだ。でも今はネット上では個人的な行為の域を出ていない。もっともっとソーシャルなものにできるんじゃないかなあと以前から考えていた。
 今のところレビューといえば、カカクコムのような集中型モデルが中心だけど、アマゾンのアフィリエイトのようにレビューも、もっと分散型モデルになっていくんじゃなかろうか。
 レビューという意見交換を通じてソーシャルで楽しいショッピング行為を、いろいろなブログ上で展開できるようなサービス・・・。そんなものが今後は出てくるかもしれない。

 というか、自分で始めてみようかなあ。

いやーやっぱりダメだ。性格的にビジネスに向いていないのを十分自覚しております、ハイ。

クラウドコンピューティングは連携の時代へ

英CODA社は14カ国で会計ソフトを販売するソフトメーカーだ。2年前にパッケージソフトの販売からSaaS(Software as a Service)事業に180度転換することを決めた。会計ソフトをパッケージに入った製品として販売するのではなく、月々の料金を払ってインターネッ ト上で利用するサービスとして提供することにしたわけだ。
その際に、自社でデータセンターを持ち、必要なソフトも自社で開発すべきか、それともsalesforce.comのプラットホームを利用すべきかを検討したという。
「結局、salesforce.comを利用することにしました。だって既にあるプラットホームを利用することで開発期間が2年間短縮されますからね」と CODA社のJeremy Roche最高経営責任者(CEO)は言う。会計ソフトの中核部分以外のプログラム、つまり開発ツールから、データベース、モバイル向けシステム、セキュリティツールなどはすべて、salesforce.comのものを利用。そのおかげで実際にスピーディーなサービスインを実現できた という。

クラウドコンピューティングがIT業界の旬なキーワードになっているが、salesforece.comが提供する企業内シ ステムのプラットホームは、まさにそのクラウドコンピューティングの1種である。梅田望夫氏が「ネットの向こう側」と表現した概念を、シリコンバレーの テッキーな人たちは「雲 (クラウド)の中」と表現しているわけだ。ソフトウエアやデータを手元のコンピューターに置くのではなく、雲の中のようなネットの向こう側に置くという考 え方だ。

クラウドコンピューティングを提供するのはsalesforce.comだけではない。amazon.comもgoogleもクラウドコンピューティングのサービスを提供している。

3社のサービスはどう違うのか。どこがこの新しいコンピューティングの潮流の中で、覇権を握るのだろうか。この問いに対し、Roche氏は次のように答えてくれた。

「Amazon は純粋なクラウドコンピューティングなんです。ただ単にCPUの処理能力だけをレンタルしているような感じ。 salesforce.comのクラウドコンピューティングは、同社が持つセキュリティ機能であったり、トランスアクション機能であったりをそのまま利用 できるところが大きな魅力。よりエンタープライズシステム向け、ということです。googleは両社の中間、というイメージでしょうか」とRoche氏は 言う。
CODA社は会計ソフトの会社であることから、エンタープライズ向け各種機能を持つsalesforce.comのクラウドコンピューティ ングが最も利用価値が高いわけだが、CODA社は実はgoogleのクラウドコンピューティングも利用している。「表計算はgoogle spreadsheetsを使って、それとsalesforec.comのプラットホーム上にある会計プログラムに連携させているわけです。こうしたクラウド間の連携プレーは今後より盛んになると思いますね」と同氏は指摘する。

例えばamazonのクラウドを写真のストレージとして利用し、オフィスソフト周辺のシステムはgoogleのクラウドを利用。よりエンタープライズ向けのシステムはsalesforceを利用し、それぞれを自由に連携させるようになるのではないか、ということだ。

連携が盛んになるのであれば、機能をより特化したクラウドコンピューティング事業者が登場してくる可能性もある。 salesforce.comの利用料は機能を強化しても一定額という方式をとっている。同社の上級副社長のジョージ・フー氏は、「他社のCRMと比べると TCO(Total Cost of Ownership)は格段に低い」と言うが、ユーザーの中には「定額制と従量制があれば営業以外の部門に対し従量制で利用できるようにしたい」「もっと 安ければ、機能を特化させて再販できるのに」という要望がある。こうした要望に対しフー氏は今後の検討を約束する一方で「機能がどれだけ高度、多彩になっ ても料金の心配がない、という現行モデルはユーザーに喜んでもらっている」と語っている。

かなり自由なカスタマイズが可能で機能も充実していることを考えれば、確かにsalesforce.comのコストパフォー マンスは高いのかもしれない。しかしその一方で、限定された機能でいいからより安価で利用できれば、いろいろなリセラーが登場する可能性がある。セキュリ ティやリライヤビリティのみをsalesforceのプラットホームに依存し、そのプラットホーム上で各種SaaSを展開するというリセラービジネスが今 後台頭してくるのではないだろうか。歯医者向けシステム、旅行代理店システム、診療所向けシステムなどを、安価でSaaSで提供する・・・。今後はクラウ ドコンピューティングを利用した、こうしたITビジネスが次々と登場してくるような気がする。

追記 金額の部分で誤解を招く表現になっていたので訂正しました。すみません。

lifelogで何が見えてくるのかしばらく挑戦してみよう

以前ひょんなことから美崎薫さんと出会って、SmartCalendarのことを教わった。今でいうところのlifelogだ。
美崎さんは「日々の出来事をすべてデジタルで記録していくと、過去の自分と今の自分が並列で存在する感覚を味わえる」と、分かるような、よく分からないような話をしていた。(美崎さんは最近こんな連載をしておられます。「Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性」
それでそのよく分からない体験をしてみたいと思っていたんだけど、twitterの不具合続きにイカッテ乗り換えたtimelogは、よく考えるとlog機能がサービスの中核である。今はtwitter的なコミュニケーションツールとして使っているんだけど、一年前の自分は何をしていたのか、ということを簡単に調べられたりできる。これってlifelogじゃん。ということで、lifelog的に使ってみようと思い立った。
公開メモ、友人向けメモはこれまで通りコミュニケーションツールとして使い続け、非公開メモ機能を使って、今何をしているのかを、テキスト、写真、動画で記録し続けてみようと思う。

 でもこれってある意味恐い。自分のすべてを記録するのだから。
 もしtimelogのサーバーがハックされれば、プライバシーが全部漏えいしてしまう。(まあこれはgmailも同じなんだけど)
 でも自分のパソコンに記憶させても、パソコンが盗難されれば同様の問題があるし・・・。

 やっぱり記録するのは当たり障りのないことだけにしようかなあ。でも人生を並列に生きるという感覚がどんなものか経験してみたいような気もするし・・・。

 timelogやgmailなど、個人情報を管理するサービスは、本当にセキュリティに力を入れてもらいたい。それと、いつでも好きなときに簡単に自分のデータをエキスポートできる機能を作ってもらいたい。いつでもこのサービスから逃げ出せるという安心感が、かえってそのサービスの付加価値になると思う。
 すべてのソーシャルメディアは、エキスポートツールを必須機能にしてもらいたいものである。

和製英語は国内向けと国外向けの2種類で

見本市やセミナーなどのイベントで「Conference」と名乗っているものがある。この「Conference」を日本語的に発音すると「コンファレンス」という人もいるし、「カンファレンス」という人もいる。どちらの表記も見かけるし、どちらの発音も聞いたことがある。日本語表記が確定していない言葉だ。
本当はどちらが正しいか、というと英語の発音記号は「a」となっている。この発音は、日本語的に言うと「あ」と「お」の中間の音である、と習ったことがある。
でもアメリカで長年過ごした経験から言うと、どちらかといえば「あ」に近いと思っている。イギリスでは「お」に近い発音のようだ。まあどちらでもいいと思う。
でもわたしは媒体ごとにこの2種類の表記を使い分けている。
会社を通じて配信される媒体、つまり新聞や雑誌向けの文章中には「コンファレンス」という表記を使っている。
そしてこのブログや、ネットメディアやIT雑誌向けの記事の中では「カンファレンス」をいう表記を使う。

多分一般的には「お」のほうがいいんだろう。イギリスとアメリカで発音が異なるのだから本来どちらでもいいんだけど、スペルが「o」だから「お」と読む人が多そうだし・・・。「読む」を主眼においた場合は「お」としたほうが無難かなと思う。
ではなぜネット界隈で「あ」を使うというのかというと、実際に外国人と接することの多いIT業界の関係者の場合、会話の相手が「あ」と発音することのほうが多いと思われるから。conferenceで最もよく出かける国は多分アメリカだろうし、接することの多い外国人もイギリス人よりアメリカ人のほうが多いと思われる。そうであるならば「カンファレンス」と常日頃から発音しておいたほうがいい。日本人、特にIT業界関係者にはもっと世界で活躍してもらいたいと思っているので、わたし自身はブログでできるだけ「カンファレンス」という表記を使っている。

同じように日本での表記がまだ確定していない単語で、最近よく耳にするようになったものに「augmented reality」という言葉がある。「拡張現実感」とかいう意味だ。スペルに「a」があるので「あ」と発音してしまいがちなんだけど、これはぜひ「オーグメンテッド・リアリティ」という表記が一般化してほしいと思っている。
以下のビデオは、そのオーグメンテッド・リアリティの実例。
家の設計図を基に作られた3次元の絵がメガネを通じて表示される。家が建設される前に窓から見える外の景色がどのようなものになるのか、などが分かるわけだ。

マックのシェアは8%どころではないはず

Cnetの記事「Macのシェア、急速に拡大中」という記事で「6月にAppleがMac OS Xで獲得した市場シェアが、7.94%に達した 」とあったが、そんなもんじゃないんじゃないか、と思う。
パソコンの利用方法が変化しているのだから、統計の取り方も変えるべきだと思う。2台以上のパソコンを使っている人が多いのだから、統計のカテゴリーをメ インマシン市場、サブマシン市場に分けるべき。メインマシン市場は10万円以上のパソコン。サブマシン市場は、EeePCや工人舎などのミニノート。それ にD4や、windows mobile、iPhoneなどもサブマシン市場に入れてもいいのかも。
アメリカのポッドキャストを聞いていたら、ある程度高価なフル機能パソコンの市場で最近の売上台数ベースで、マックが6割か7割のシェアを獲得している、 という話をしていた。確認を取りたかったのでいろいろ検索したけれど、見つからなかった。だれか元ネタとなるページを知っていたら教えてください。

そういうように2つの市場に分ければ、メインマシン市場のインストールベースはウィンドウズ、売上台数はマック。サブ市場では、ウィンドウズXPやiPhone、windows mobile、その他のOSが拮抗している。そんなような統計結果になるのではないかなあ。

追記 コメント欄にあるように、別のとおりすがりさんが、探していた情報を見つけてきてくれました。ありがとうございました。

       

IEでの不具合解決しました

「ブログが表示されないですよ」という連絡を何人かからいただいた。調べたところどうやらIEでは見れないことが分かった。頼りになる助っ人「おかっぱ頭のホンダくん」がいろいろ調べてくれたところ、ブログパーツの1つが悪さしていたもよう。もう直りました、と思う。まだ問題がある場合はお知らせください。

どの業界でも大企業はもうだめなのだろうか

和蓮和尚がホッピー飲みまくりフラフラ頭ながらも的を得たことを書いている。大手メーカーが電子書籍端末で失敗したことについて

  • 妙なプライドと妙なCP仁義切りの結果妙ちくりんにハイスペック・高価格な端末
  • CP仁義を切った結果「一般ユーザからすると認知度が低く」 「ネットユーザーからしても魅力的じゃない」みょーなコンテンツしか配信できなかった

ああどこの業界も同じなのね、と思ってしまう。コンテンツに対して今までと同じ発想で進めば、そうなるわな。ネット以前のコンテンツ売りのようなビジネスは、無料コンテンツを核にしたコミュニケーション、コミュニティをベースにした新しいビジネスモデルが成立した後に、そのモデルに乗っかる形でしか新しい時代に移行できないのかもしれない。

「そろそろマスは切ってグローバルニッチでファン層を囲う、というマーケティング・商品企画策に振ってもよさそうなもの」と和尚は言っているが、大手企業は、やはりマス狙いから脱却できないもんなのかもね、と再認識。

古いビジネスの手法で時代の変化を乗り越えようとするものの、古い手法は当然もう通用しない。なのに「前回のトライはやったやつがバカだったから。今回は優秀なオレ様たちがトライするから成功するに違いない」と何度も挑戦し続ける悲しさよ。

もう大手が大手であり続けることって無理なのだろうか。

投票結果は意外にiPhoneに否定的

「iPhoneって日本でバカ売れすると思う?バカ売れの定義にもよるだろうけど」って、timelogの投票機能を使って聞いてみた。
意外や意外、timelogで答えてくれた人の間では、「×」のほうが多かった。timelogのユーザー層ってtwitterユーザー層とちょっと違うのかもしれない。twitterのほうがよりtechieな感じがする。twitterで投票機能があれば(ないけど)「○」のほうが多かったかもしれないな。
timelogの投票の最新結果はこちらから。
hamadaさんの「欲しくて悶えてる」は笑った。同感です。

ブログが重いのはブログパーツのせい?

最近、「湯川さんのブログの表示に時間がかかり過ぎる」「全部表示されないで途中で止まってしまう」という苦情が寄せられることが増えてきた。
なぜだろう、ブログパーツを貼り付けすぎたから?。金魚の歌のブログパーツまであるし(笑)。外せるものは外したほうがいいのだろうか。それともココログのせい?
だれか教えて。

追記:オカッパ頭のホンダくんのススメで、aboutmeのブログパーツをプロフィールのページに移してみました。

もう一度言おう、日本でiPhoneを薦めることはできない

PCウェブはパソコン画面を前提に作られている。どれだけUIが優れていようと、指2本で画面の拡大が簡単だろうと、人差し指で画面がスクロールできようが、パソコン画面向けに作られたウェブページをiPhoneの小さな画面で見るのは絶対につらいと思う。僕自身、長年windows mobileでPCウェブを見ようとしてきた経験から、PCウェブはやはりパソコンで見るように作られているものだと思う。iPhone向けのサイトを作ろうという動きが自体が、PC向けサイトをiPhoneで見るのは不便だということの証拠である。
欧米では日本ほどケータイウェブが発達していないので、iPhone向けページが次々と作られているようだが、日本ではiPhone用ページが果たして数多く出現するだろうか。サイズが大きく異なるウェブページ製作はせいぜい2種が限度だろう。欧米ならPC向けとiPhone向けの2つになるかもしれないが、日本ではPC向けとケータイ向けの2種類が既に存在する。幾らなんでもiPhone向けに3種類目を製作するサイトはそう多くないだろう。こうしたことから考えても、iPhoneは日本ではそれほど使い物にならないのではないか、と個人的に考えている。

ということで、何度も言うようだが、もし知人からiPhoneについて意見を求められたら、あまりお勧めできないというのが、正直なところだ。
とはいうものの自分はどうか、というと多分購入してしまうと思う(なんやねん、それ!)。だってiPhoneはほとんど芸術品のレベルに達しているんだもん。
iPhone向けサイトがそれほどなくったって、少なくともgoogleは対応サービスを出し続けてくれるだろうし、それだけも十分iPhoneを購入する価値はある、僕のようなガジェット好きの人間にはね。人には薦めないけど・・・。

timelogとデジタルサイネージ

digitalsignage

 最近twitterからtimelogに乗り換えて、サクサク使えて快適なんでございますが、そのtimelogの中の人から発表文が送られてきた。

福岡の生活者のための地域密着型メディア「福岡街メディア」の特設グループを設置し、インターネットに接続されたPC や携帯電話を通じて、リアルタイムに写真やテキストデータをデジタルサイネージシステムに投稿できるサービスを開始します。

 米ラスベガスで開催されたデジタルサイネージ・エキスポを取材した際に、いろんな人が「次は一般ユーザーからの投稿を反映させるような仕組みにしたい」というような話をしていた。デジタルサイネージを単なるデジタルの看板とはとらえずに、web2.0的なオンラインメディアをリアルの社会に持ち出したもの、ととらえる人が多かったので、自然と言えば自然な流れだと思った。日本ではまだまだデジタル看板という考え方が中心だけど。

 でもウェブ系の人たちが関与すると、今回のような話になるんだろうなと。デジタルサイネージを進化させるのは、メーカー系でも広告系でもなく、ウェブ系の人たちのような気がする。
 九州在住の人は参加されてはどうでしょう。ここから

九州各県に在住の皆さま、この夏に九州を旅する方をはじめ、九州にゆかりがあればどなたでも参加できる、フォトコンテストです☆

テーマは、「夏」。

九州各地で撮った、夏らしい写真を気軽に投稿してください!
夏祭り、花火大会、海水浴、入道雲、ひまわり・・夏を感じる風物詩をどんどんお寄せ下さい。

このグループに投稿された写真とコメントは、福岡市内に張り巡らされたディスプレイ「福岡街メディア」(※1)にも掲載されます。(7/22~掲載スタート予定)

■フォトコンテスト概要■
*実施期間:7/1~9/30(毎月、月末にコンテストの大賞を決定します)
*賞品:福岡ソフトバンクホークス観戦チケット(ホームゲーム/内野席・ペア)※2

*第一弾〆切:7/30(水) 0:00

福岡でどんな感じで盛り上がるのか、だれかレポートしてくれないかなあ。

IBM広告レポートの結論-ボツにした未完成原稿vol.15

主張を180度転換したのでボツにした原稿です。何かの役に立てばと思いアップします。未完成原稿ですので、未確認情報が含まれます。ご注意ください。

▼IBMが描く近未来4つのシナリオ

  さてIBMのレポート「The end of advertising as we know it(われわれの知っている形の広告の終焉)」に話を戻そう。このIBMレポートは、広告をテーマにしたレポートだし、5年後を予測するものであるから、 マッケンナ氏が予測するような究極のマーケティングの形にまで踏み込んで議論していない。そこまで踏み込んだ議論にはなっていないものの、広告業界の5年 後の近未来を占う上でIBMのレポートは示唆に富んでいるといえる。
 IBMレポートは、広告業界の5年後を予測する上で、不確定要素が2つある、と指摘する。
  1つは広告マーケットプレースが広告業界にどの程度利用されるか、ということ。2つ目は、消費者へのパワーシフトはどの程度進行するのか、ということだ。 消費者へのパワーシフトとは、。CMスキップや、ポップアップ広告の表示拒否など、どの広告を見るかという選択権が、どの程度消費者に移行するのか、とい う話だ。
 この2つの不確定要素の組み合わせで、4通りの近未来のシナリオを描くことができる。
  1つは、広告マーケットプレースの利用も、消費者へのパワーシフトも5年間でそれほど進行しない、というシナリオ。2つ目は、広告マーケットプレースの利 用は進むが、消費者へのパワーシフトは進まない、というシナリオ。3つ目は、広告マーケットプレースの利用は進まないが、消費者へのパワーシフトが進む、 というシナリオ。最後に4つ目は、広告マーケットプレースの利用も、消費者へのパワーシフトも進む、というシナリオだ。最終的には、4つ目の究極のシナリ オへと移行していくのだが、今後5年以内という近未来予測では、この4つのシナリオのうち、どれになるのかは分からない、としている。

▼広告マーケットプレースも消費者へのパワーシフトも起こらない場合

 とはいっても、デジタルビデオレコーダーの普及に伴ってCMスキップする視聴者が今後も増え続けるだろうし、テレビを見ずに「ニコニコ動画」のようなネットサイトを見るという若者は増えることはあっても減ることはないだろう。
 広告予算が、テレビなどの従来型メディアからネットに移行するといっても、それは緩やかな移行であり、急激な変化ではない。広告主は、従来型メディアとそれ以外の新興デジタルメディアの双方に広告を出稿していくことになる。
  IBM レポートは、広告の効化測定技術、ターゲティング技術の向上により、ダイレクトマーケティング予算がブランド広告のチャンネルに移行するだろうと予測して いる。ターゲティング広告がネット上やケーブルテレビ上で可能になるので、ダイレクトメールなどの予算がネット、テレビなどに移行されるようになる、とい うことだ。
 IBMレポートは、「広告代理店は引き続き、クロスプラットホームでシームレスに統合されたプランニング、バイイング、配信、効果測定サービスに対する広告主の要望に応えようとするだろう」と予測している。
 日本の広告会社は、このシナリオが日本では最も現実的と考えているからだろうか、事実、テレビや雑誌、ネット広告のキャンペーンを一元的に計画、配信、効果測定できる統合エージェンシーへの動きを加速させているようだ。

▼広告マーケットプレースが普及するというシナリオ

 IBMの予測シナリオの2つ目は、広告マーケットプレースが普及する一方で、消費者へのパワーシフトが進まなかった場合である。IBMレポートは、電話通信事業者や新興テクノロジー企業などけん引役となり業界を改変していくと予測する。
 ネットサイトへの広告配信だけではない。テレビや新聞などの従来型メディアへの広告配信も広告マーケットプレース経由になっていく。米国では、この分野にもグーグルが参入している。
 しかし日本の従来型メディアへの広告配信では、大手広告会社が有利なのかもしれない。電通傘下のオンライン広告会社のサイバー・コミュニケーションズの長澤氏は、「電通の強みが活かせる分野」と主張する。
 一方で、ケータイ電話やデジタル・サイネージの分野では、IBMレポートが指摘するように通信事業者が有利になるかもしれない。今度のソフトバンクの動きが気になるところだ。
 IBMレポートは、ほとんどの広告枠の売買が広告マーケットプレースで行われるようになり、これまでの仲介業者(広告会社のことだ)は中抜きされるだろう、と予測している。
 小さな広告主でさえ、テレビのCMスポットを購入できるようになる、としている。

▼消費者へパワーシフトするというシナリオ

  3つ目のシナリオは、どの広告を見るかという選択肢が消費者へ移行するというもの。パワーが消費者へシフトするため、広告主、広告会社は、より見られる広 告の製作に力を入れる必要が出てくる。消費者の求めている情報や、見ていて楽しい広告、双方向機能のついた広告などに力を入れなければならなくなるわけ だ。
 IBMレポートは、広告主や広告会社は、複数の広告パッケージを用意し、消費者が選択できるようになるかもしれない、 と指摘する。コンテンツを無料で見せる条件として、広告を見る、という形が普及する可能性もあるとしている。消費者が自ら宣言した属性タイプと、行動履歴 などの取得データの双方を掛け合わせて、消費者一人一人に合った広告が配信されるようになるだろう。ありとあらゆるデータを取得、分析し、消費者の属性を 正確に把握する技術へのニーズはますます高まるであろう、とIBMレポートは予測している。

▼広告マーケットプレースが普及し消費者へのパワーシフトが進行するシナリオ

 最後のシナリオは、あらゆる広告の売買が広告マーケットプレース上で行われるようになり、消費者へのパワーシフトも同時に起こる、というものだ。
 IBMレポートは、これが最も劇的な変化を呼ぶシナリオで、新興テクノロジー企業がいろいろな領域で台頭してくるだろうと予測している。
 このシナリオが実現すれば、広告が消費者にとって関連のあるもので、興味深いものであれば、どういった規模の広告主であっても、的確な属性の消費者個人に対してリーチできるようになる、としている。

 さて、では日本の広告業界はどのように変化していくのだろうか。結論から言うと、5年間でそれほど大きく変化はしないだろう、とわたしは考えている。IBMレポートで言うところの、「広告マーケットプレースも消費者へのパワーシフトも起こらない場合」というシナリオだ。
 なぜそう思うのかというと、欧米とは異なり、広告業務における大手広告会社のプレゼンスが非常に大きいからだ。



序章 経済リワイヤリング-ボツにした未完成原稿vol.0
IBMが読む広告の未来-ボツにした未完成原稿からvol1
分断される消費者の関心-ボツにした未完成原稿vol.2
メディア消費の過渡期と3層並存論-ボツにした未完成原稿vol.3
テレビCM崩壊は日本でも起こるのだろうか-ボツにした未完成原稿vol.4
ニコニコ動画に見る日本のクリエイティビティの実力-ボツにした未完成原稿vol.5
アマチュア作品はプロに勝てるのか-ボツにした未完成原稿vol.6
オンデマンドで儲からないのは当たり前-ボツにした未完成原稿vol.7
表現者にとっていい時代になるのか悪い時代になるのか-ボツにした未完成原稿vol.8
セミプロ、アマチュアが作る広告-ボツにした未完成原稿vol.9
消費者が主導権握る広告-ボツにした未完成原稿vol.10
受動的消費者が能動的になるとき-ボツにした未完成原稿vol.11
セカンドライフ内の広告に期待-ボツにした未完成原稿vol.12
広告マーケットプレース-ボツにした未完成原稿vol.13
日本でヤフーがこれからも強い理由-ボツにした未完成原稿vol.14