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ケータイ向け広告マーケットプレースのアドモブ社、日本進出

 日本でも業務を開始したモバイル広告マーケットプレース、米アドモブ社の日本担当ニレン・ヒロさんが来日したのでお話をうかがった。ヒロさんは、神戸生まれ、神戸育ち。ということで今回は日本語で取材した。  メディアサイトと広告主を自動マッチングさせる広告マーケットプレースは、まだ日本ではそれほど馴染みがないが、米国では新規参入や買収による合従連衡がひっきりなしに繰り広げられているホットな分野。その広告マーケットプレースのサービス提供企業の中でも、モバイルという分野で頭角を現したのが、アドモブ社だ。  同社は今年から、日本でも業務を本格化させるという。モバイル広告マーケットプレースで日本のケータイビジネスはどう変わるのか。アドモブ社の業務内容だけでなく、米国のネット業界の最前線についても聞いてみた。

 

【注意】今回からポッドキャストエントリーのフォーマットを変えました。最初のビデオは5分ほどのダイジェスト版です。そのあとの小さなウインドーのビデオは、ほとんど編集していません。1本10分以内で、今回は5本あります。それぞれのテキストのあとにビデオを埋めこみました。要点だけを知りたい方はダイジェスト版をご覧ください。詳しく知りたい方は、興味のあるテキストの下にあるビデオをご覧ください。  テキストは、インタビューイの発言を書き直したものです。発言そのものではありませんので、ご注意ください。

 また音声版ポッドキャストと、ビデオ版ポッドキャスト(最初のダイジェスト版と同じ物)は、一番下のリンクでダウンロードできます。またiTunesなどにアイコンをドラッグしていただくと、ポッドキャストを購読(無料なので、この言い方はおかしいと思いますが)できます。

ーアドモブとはどんな会社?

 モバイルネットにフォーカスする広告ネットワーク、ペイパークリックで広告マーケットプレースを運営 メディアサイトがインストールコードをサイトに貼り付ける、2700から2800サイトが使っている。
  広告主が、どの国、キャリア、端末の機種に流すか、というパラメターを決めるで、幾ら払うかを決める。
 アドモブが、このパラメターに合うサイト、ユーザーに広告を見せて、クリックされれば広告料が発生する。いただいた広告料のうち、ほとんどがメディアサイトに入り、残りがアドモブの手数料になる。
  メディア側の設定はいろいろ可能。競合者の広告はダメ、など、細かく設定できる。広告の原稿のチャックも可能。 リアルタイムで価格も変える。レポーティングもリアルタイム。 24時間自動的に調整している。 ネット上の広告マーケットプレースのモバイル版。
 グーグル、オーバーチャと違うのは、裏で扱うオプティマイゼーションアルゴリズム。端末まで見れる。独自の技術で力を入れている。 ハードウエア、メディア、ユーザーなどのいろいろなパラメターでターゲットを絞り込んでいる。
 ウェブサイトのマークアップ言語は、比較的標準化されている。 160カ国で500キャリア、2800サイトの過去のデータがあるので、どのカテゴリ、どういう広告の原稿だとクリック率が高いかを把握できている。
  月に20億インプレションもあるので、データを集めて分析できる。よりいい広告を配信するために分析に力を入れている。 8割の売上はセルフサービス、大手ブランドには営業チームが対応。
 日本も立ち上げる。マーケットプレースは日本語化が済み、サービスはソフトローンチしている。 3年、5年先のモバイル広告市場は、日本が世界でも1位、2位にはなるだろうから、がんばっていきたい。

   

-日本のモバイル市場と外国の市場の似ている点、異なる点は ?

 似ているところは、モバイルユーザーは若者が多く、伸びているカテゴリーがSNS、娯楽、ダウンロードなどの分野ということ。
 違いは、セルフサービスを使う人がいない。代理店が必要になってくるので、セールスチャンネル戦略を作っているところ。
 メディアサイトは2種類。ロングテールと大手サイト。今はスタート時などで、欧米でやったようにまずロングテールサイトにセルフサービスでインストールコードを張ってもらうというやり方でいきたい。
  そういう意味で、日本のロングテールは非常に大きい。外国では何百サイトのところが、日本でも何千、何万もロングテールサイトがある。非常に期待している。
 一方で大手サイトは、CPMモデルで経験があるサイトが多い。どの程度の費用対効果を出さなければ相手にしてもらえないということが分かっているので、反対にやりやすい。

-GPSや電子マネーを使ったターゲティングは考えているか?

 日本で学んで、外国で使うというケースは出てくると思う。 外国は広告か課金モデルしかない。Eコマースに関する広告モデルは、日本で開発して外国で使うつもり。
 リッチメディアが進んでいるし、動画広告も動き出したようで、関心はあるが、数字を見る限り、あまり大きいビジネスチャンスではないので、当面はバナーとテキストで十分競争できると思っている。
  2年間でユーザー、ページビューが伸びている。それは定額性になったからだが、ところが(クリック数の)供給が増えたおかげで、一時的に1クリック当たりの広告の価格が落ちてきた。今は相対で交渉するより、広告マーケットプレースで自動マッチングしたほうが、価格は伸びていくと思う。
 日本だけでGPSベースの広告サービスを出せば、外国のユーザーから「うちの国ではこのサービスを出さないのか」というクレームがくる。なので、できるだけ世界中で同じサービスを出したい。GPSによるロケーション、電子マネーが広まっているのは、日本以外ない。 外国では位置情報に関するプライバシーポリシーに関するコンセンサスが確立していない。米国のキャリア5社のロケーションポリシーは全部違う。 なので、GPSや電子マネーに関連した広告サービスの開発は、後回しになる。

   

ー独立系にこだわる理由は?

 米国で買収がたくさんあった。買収はほとんどパソコンの広告関連。モバイル分野では、競合他社がほとんど既に買収されている。AOLがサードスクリーン、MSNがスクリーントニックを買収した。この領域はまだまだ伸びているので、慌てて売るより、体制を整えて資産ベースを拡大するとい戦略を取っている。

-ネット広告の今後は?
 米国でデジタル広告市場は、320億ドル。検索が150億ドル、バナーが100億ドル、新しいカテゴリーが、ソーシャルネットワークの広告。プラットホームレイヤー。
 2、3年で、600億ドル。まだまだ伸びる。買収はたくさん起こるだろう。昔のやり方、営業が交渉するやり方は、だめになる。  BlueLithiumとか行動ターゲティングが非常に強い会社が大きくなり、テクノロジーで費用対効果を出せるという証明ができないと買ってくれなくなってきた。急速に昔のやり方が通用しなくなってきている。
 検索連動型広告もまだまだ大きくなる。分野別の専門検索の分野も大きくなってきている。みんな注目はしているが、まだ完全に確立していないのが、モバイル、オンラインビデオの領域。大手が買収するには、もう少し市場が大きくならないといけないし、アドモブのようなプレーヤーはまだ身売りする気がない。

ー広告周辺で大きくなっていくテクノロジー分野は?  

 力入れている技術は、ターゲティング最適化。PCの領域のクッキーほどの精度はないんだけど、行動やコンテクト、ハードウエアが分かるので、それを使ってマッチングしている。  メディアサイトは昔はヤフーが強かった。今は小さなメディアがたくさんでてきている。彼らは分析ツールを重宝する。だから2つ目は分析ツール。  3つ目は、レポーティング。ワンストップで、すべての広告を統合されたダッシュボードで買わないとわけが分からないようになってきている。アドモブではAPIを公開して、こうしたダッシュボード経由で、ユーザーがより簡単にアドモブを使えるようにしていきたい。
 ダブルクリックのお客さんは、大手ブランドや大手広告会社を通じてバナー広告を買うケースが多い。 SEMだけでやってる代理店がある。ダブルクリック1つで、全世界これで満足ということにはならない。
 力のある代理店は、ダッシュボードの自社開発に力を入れて、われわれのようなネットワークはそうしたダッシュボードが使いやすいように、APIを公開していく傾向にある。

  -どのセグメントの広告主をターゲットにしているのか?

 2年前にスタートしたときは、広告主のほとんどは、ゲームなどのモバイルアプリのメーカーだった。

 昨年ぐらいから、4つに分かれた。1つは、やはりモバイルアプリ企業。2つ目は、モバイルメディア企業。CBSやABC、ESPNとかの大手メディアブランドはみんなモバイルで広告枠を買っている。というのは、テレビではリーチできないユーザーがいるから。3つ目は、通話料無料の番号を持っている通販会社。4つ目は、コカコーラなどの大手ブランド。  大手ブランドは、バナー広告とテキスト広告の両方を買う。バナーは表示に対する課金、テキストはクリックに対する課金なので、両方で効果を見たいから。この両方の広告をうまくできるのは、アドモブだけなので、アドモブに大手広告主が流れてきている。こうした結果を証明できることで、次の年には予算が増える。その方向にある。

ーここにきて広告マーケットプレースが脚光を浴びるようになってきたのか?

 マーケットプレースはネット以前からあった。98年99年から、オーバーチュア、グーグルが始めた。メディアが騒いでいるから盛り上がっている。グーグルはこんなに数字出しているのか、とみんな驚いて、いろいろな領域で同じようなことをしようという企業が増えた。8年前から徐々に伸びている業界だと思う。

-フェイスブックがパワーを持ち始めてきたが、どのような影響があるか?

 1つの影響は、エンジニアを雇用するのが難しくなってきたということ。 エンジニアは話題の企業に行きたがって、アドモブのように本当に伸びている会社にはきてくれない。 
 もう1つは、フェースブックのウィジェットを作る企業が増えているということ。アドモブもウィジェット(ブログパーツ)にタグを入れて、広告を出せるようなウィジエットを開発している。ウィジェットを通じてソーシャルグラフ(だれとだれが友達かなどの情報)を入手できる。 (先手必勝といわれるが)遅くきたほうが、有利なこともある。フェイスブックは、いろんな面で、アーキテクチャーをオープンにしている。もっとモバイルインターネットに参入できるようにしている。
 ウィジェットを作って申請し、認可されれば、フェイスブックのユーザー情報を取得できる。全部見せることはないが、ウィジェットによって、関連のある情報を見せる形。アドモブの場合は広告ネットワークとして、関連する情報を取得し、一番関連性の高い広告を投げ返している。

   

 ケータイキャリアとも深く話している。キャリアはSNS以上にユーザーの情報を多く持っている。だからキャリアは「SNSは恐くない」と言っているが、実際にそういうデータを請求書システムから切り離して利用できるキャリアは非常に少ない。われわれは一番進んでいるキャリアと協業することに力を入れている。 -個人情報を集めることはプライバシーの侵害につながらないのか?  個人情報は、個人を特定できる情報と、個人を特定できない情報がある。広告業界が必要なのは、個人を特定できない情報のほう。居住地域、年齢層、性別ぐらいで、十分なターゲティングが可能。IDやパスワードといった、それ以上の情報は必要ない。フェイスブックやアドモブもそうだが、大きくなっていく会社はプライバシーポリシーに漏れがないように厳しく運営している。  第三者に利用してもらう場合も、個人を特定できない形にして、情報を提供している。  確かにプライバシー問題での失敗はときとして発生する。それで大きな問題になることもあるが、5年前と比べてターゲティングは非常に進歩したし、業界としても力を入れているので、期待している。  そんな中で、テレビが提供できるターゲティングが物足りないという機運が高まってきている。それでテレビ、新聞から広告費がインターネット、モバイルに急速に移行している際中だ。

-ターゲッティングに必要な個人情報を持つSNSやケータイキャリアに個人情報の利用料を支払わなければならないのか?  

 いいえ。個人情報を利用させてもらうことで広告収入が増えるので、レベニューシェア契約のSNSやケータイキャリアにとってもプラスになる。なので特別な契約は結んでいない。  責任もって情報漏れがないようにしなければ、アドモブの評判に傷がつく。キャリアによってはヘッダーから、国、キャリア、機種、電話番号、IPアドRスまで分かる。サイト履歴で、男性かどうか、18歳以上かどうかも分かる。でも電話番号は、第三者には提供しないし、こちらからセールスの電話を入れることもない。  また個人を特定できる情報をグループ化するメディアサイトはうまくいっている。  

 

アドモブの強みは3つ。1つは、スケールの大きさ。一番多くユーザーへリーチできるので、さらに多くの広告主が集まってくる。2つ目はユーザー情報。ユーザー情報を持っているから競合他社よりもより高度なターゲティングが可能。より関連性の高い広告をより早く出せる。 3つ目は人材。カルチャーとチーム。 ーユーザー情報を集めるのには、メディアになるか、キャリアになるかしかないかと思ったが、アドモブのような情報のパイプ役も入手できるんですね。  そう。どちらかといえば、アドモブのほうが多く持っている。というのは、テンプレートにアド・インストール・コードを入れると、ユーザーがページにアクセスするたびに、サーバーを呼び出すが、その際にヘッダー情報が全部流れてくる。そのときのキャリアの状況も同時に分かる。キャリア、ゲートウエー、端末などの情報も分かる。この情報の組み合わせは、メディアサイトやキャリアよりアドモブのほうが多く持っている。


以下は、いただいた資料から


160カ国以上で2750以上のモバイルサイトに月間20インプレッション以上の広告を配信 扱っているのは、広告をクリックした場合にのみ広告料を支払うCPC型テキスト広告と、表示される件数に対して支払うCPM型バナー広告の2種類。 サイト管理者と広告主が自分で必要な項目を入力するセルフサービスが基本で、セルフサービスの広告は月に18億インプレッション。大手企業向けには、営業マンが個別対応し、キャンペーンマネジメントやターゲティング、レポーティングサービスつきのフルサービスもある 広告の種類もいろいろあり、広告をクリックすれば、キャンペーンページにジャンプするという広告だけでなく、クリックすれば電話がかけられる広告もある。ほかにもクリックすれば、ビデオが始まる広告や、音声メッセージを聞くことのできる広告、個人情報を提供できる広告もある。クリックすれば、着メロ、ゲーム、待ち受け画面をダウンロードできる広告もある。 ユーザーの属性は、アンケート調査で得られた「デモグラフック(人口統計的)情報」、どのようなサイトを閲覧したかという履歴データ、ケータイの機種などを考慮して、判断する。  「デモグラフック(人口統計的)情報」は、モバイルサイト上で「年齢」「性別」「世帯所得」「最終学歴レベル」などの質問に選択肢を選ぶ形で応えてもらうことで取得。 これに、サイト閲覧履歴、ケータイ機種情報を加え、幾つかのユーザーカテゴリーに分類するという。例えば「ビジネストラベラー」というカテゴリーでは、男性で18歳から49歳で、年収は10万ドル以上のユーザー。「テクノロジー愛好者」というカテゴリーでは、男性で18歳から34歳の男性で、年収は7万5000ドル以上、といった具合。

音声版ポッドキャスト

「itblog_0219.mp3」をダウンロード

「itblog_0220.mp3」をダウンロード

ビデオ(ダイジェスト版)ポッドキャスト

「it_blog_video_0018.mp4」をダウンロード


 

PR系ブロガー懇親会

 広告系ブロガー新年会と動画人JAPANが異様な盛り上がりをみせ、非常に楽しかったので、2月8日夜のPR系ブロガー懇親会にも顔を出すことにしました。
 僕はPR系ブロガーではないのですが、現在、広報に関する本を編集者として作っているところなんで、PR業界の人とぜひ意見交換したいと思って参加を決めました。ブロガーでなくてもいいそうなんで、企業の広報の方、PR会社勤務の方、いっしょに行きませんか?ほんと、めちゃくちゃ楽しいですよ、この手のイベントは。

以下、主催者のブログからのコピペ。

現在参加表明ブロガーは以下の通り。

Yahnnys.com

ガ島通信

とあるギョーカー人のアイデアネタ帳ブログ

tokuriki.com

湯川鶴章のIT潮流

ALOHAに生きたい

CGM×広告

えびっぷりのDiario~☆

表参道で働くサーフィン大好きPR会社General Manager日記

PRマン五輪の書

ばがボンドno広告魂

WADA-blog(わだぶろぐ)

hiniclip

事前登録制なので、締め切りは31日(水)18:00までです。

ブロガーでなくても、参加OKですのでこちらからお申込みを


コンテンツ評価の物差しは「共有」へ

 アマの表現物がプロの表現物に勝つことができるのだろうか。今日、プロのカメラマン、ライター、ミュージシャンにこの問いを投げかければ、ほとんどのプロ は「アマに負けるわけはない」と答える。もちろん「勝てそうもないです」と気弱なことを言っているようではプロ失格なので、こうした答えでもちろん構わな い。ただ本当に今後もそうした時代が続くのだろうか。
 多摩大学の公文俊平教授は、今日のプロによるアマチュア軽視と同様の傾向は過去の時代の境目にも存在したと指摘する。中世から近代への移行期に農民を集 めた兵隊が作られたが、こうした兵隊は、日本では武士、ヨーロッパでは貴族に当初は「百姓を集めた兵隊に負けるわけがない」とばかにされていた。しかし銃 を装備した近代軍隊の戦いの中では、個々人の剣術の腕前はまったく意味がなかった。戦いのルールが、個人戦から銃を使った新しい形の団体戦に変わったので ある。
 産業化の局面では、靴や洋服といった製品を手作りするギルドの親方が大量生産の靴や洋服を「女子供が作った物に負けるはずがない」とばかにした。ところが現在、われわれの身の周りは大量生産の製品であふれている。手作りの製品を探すほうが困難だ。
 今はまだ情報化社会に入ったばかり。これからより優れた表現のツールが次々と登場してくるだろう。そうしたツールの支援を得て、アマの作品はプロの作品に対し、量で凌駕し、質で肉薄するようになるのだろう。
 ただ古い物差し、古い競争のルールで見る限り、プロはプロである。頂点に君臨し続ける。一人対一人の戦いというルールであれば、やはり武術を極めた者の 勝利である。今日でも、空手のトーナメントでまったくの素人が勝ち残れる可能性はゼロに近い。同様に靴という製品の分野でも、価格という物差しを除外し、 芸術性や品質という物差しだけで計れば、今日でもプロの靴職人の製品に軍配が上がる。

▼表現物の物差しは「質」から「共有」へ

 

 表現物でも芸術性という物差しで計れば、今後もプロのクリエーターの勝利になるだろう。作家の浅田次郎さんは、ネット掲示板「2ちゃんねる」から生まれた小説「電車男」があまりに話題になったため、実際に読んでみたという。「作品としては非常にレベルの低いものだった」と語っている。
 ケータイ小説に関し、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんはネットメディアCNETの「ソーシャルメディアとしてのケータイ小説」と題したコラムの中で次のように語っている。
 「本来、文学というのは、ひとりの孤高の作家がみずからの内面と向き合い、みずから作り上げた世界観と哲学を世間に問うという行為だった。だがケータイ小説は、書き手の側も、読み手の側も、自分たちがひとつの『空間』を共有していると信じ、その『空間』に寄り添うかたちで小説をコラボレーションによって完成させていく。文学が卓越した個人による営為であるのに対し、ケータイ小説は人々の集合知をメディア化したものである。
 そのようなとらえ方をすれば、ケータイ小説の文体が陳腐で下手くそで、同じようなステレオタイプ的なプロットに彩られているのも当然である。なぜなら陳腐でステレオタイプなものこそが、若い読者にとっては『リアル』であるからだ」。
 小説をコラボレーションする、とあるのは、作者がケータイ小説を書き進めながら出来た文章を次々とケータイサイト上で発表していく中で、読者からコメントが寄せられ、そのコメントを考慮して小説が変化していくというプロセスをケータイ小説が取るからである。
 佐々木さんの言うように、これまでの文学とケータイ小説はまったく違うものなのかもしれない。小説は個人が作りだす芸術であり、ケータイ小説は作者と読者、読者同士をつなぐ仲介物、メディアなのかもしれない。
 ケータイ小説は、身の周りで起こった楽しいこと、困ったこと、おもしろいこと、うれしいこと、悲しいことを、友人とおしゃべりするのと、同じような感覚を読者に与えてくれるのだろう。芸術というよりも、おしゃべりと同様に「人とのつながり」の1つの形なのだろう。小説に関しても新しい物差しが登場しているわけだ。芸術性という物差しではなく、おしゃべりのような意識の共有を持てるかという物差しだ。
 どうやら動画というメディアでも同様のようだ。コミュニケーション・デザイナーとして活躍する河野武さんは、マーケティング施策の中に積極的に動画を活用する一人だが、河野さんのブログ「smashmedia」の「ぼくは動画人ではない」という記事の中で「ぼくは『動画』ってくくりがどうもしっくりきてなくて、ぼくのやってるのは『ライブ』であって、極論、動画じゃくて音声だけのラジオでもかまわないとすら思ってるし、キモはチャット(というかリアルタイムな参加)にあるとも思ってるので『動画』じゃないよなあ」と語っている。
 もちろん動画を一方通行の情報伝達手段として活用するケースはまだまだ多いのだが、「参加」という側面に注目した使い方をする人も増えてきているようだ。
 天才靴職人の手作りの靴へのニーズが完全になくなっていないように、芸術性の高い小説へのニーズはなくならないだろう。しかし一方で、現実味がある「空間」を共有できる形のケータイ小説や動画へのニーズが強まっているのだ。
 小説や動画だけではない。あらゆる表現物に、人と人をつなぐ「空間」を作れるか、特定の感覚を共有できるか、という新しい物差しが登場しつつあるのかもしれない。
 アマチュアが作った新しい表現物を、芸術性、質といった物差しで評価しても仕方がない。「共有」「つながり」という新しい物差しで評価すべきなのである。

▼競争の形は個人戦から新しい形の団体戦に

 武芸の達人同士の争いなら、個人の技量が決め手になる。軍隊同士の衝突になれば、鉄砲、戦車などの武器が勝負を決める。個人の技という人間の力ではなく、武器というテクノロジーの力が重要になる。
 靴の場合も同様だ。一つ一つの靴の品質や収益率の競争ではなく、薄利多売でどれだけの利益を全体として上げることができるのか、というのが工業化社会の中での競争のルールである。個の競争ではなく、集合の競争だ。
 表現物の競争の形もまた変化しようとしている。人間の力が勝負を決める個々の表現物の間の競争ではなく、テクノロジーの力が勝負を決める無数の表現物の集合の勝負である。軍事化の時代も工業化の時代もそうであったように、情報化の時代にも、新しいテクノロジーを使った新しい形の団体戦が重要になるのである。

▼ロングテール時代でもビジネスに変化なし

 最近のテクノロジー系の流行の言葉に「ロングテール」というのがある。書籍という表現物を使ってこの言葉の意味を簡単に説明してみよう。一番よく売れている本から順に並べたグラフを作ったとする。X軸に過去1カ月に売れた本を最もよく売れた本から順番に並べる。Y軸は販売部数とする。
 インターネット普及以前ならX軸に並ぶ本の数はそう多くなかった。書店の店頭に並べられる本の数には限りがある。売れなくなった本は店頭から次々と姿を消し、一度店頭から姿を消した本が再び売れ始めることはほとんどなかった。
 ところがインターネット上の書店なら、在庫がなくならない限り、売れない本でも販売され続ける。ユーザー一人一人の購買履歴から、そのユーザーが好きな本を推薦する仕組みなどもあって、古い本でもわずかながら売れ続けることが多い。
 過去1カ月に売れた本を並べたグラフでみると、X軸が長く伸びる。まるで長い尻尾のように。ゆえにネットの普及後にみられるようになったこうした現象がロングテールと呼ばれるようになった。
 あまり人気がなく細々と売れている商品のことをロングテールと呼ぶこともある。一方で売れ筋のヒット商品をヘッドと呼び、ヘッドとロングテールの中間に位置する商品をミドル、もしくはマジックミドルと呼ぶことがある。
 さてロングテールの時代になり、一見ビジネスが変化したように思われがちだが、作家や出版社のビジネスには何の変化もない。これまで同様に、目指すはヒット商品である。ヒットしなかった商品でもネットのおかげでわずかに売れ続けるようにはなったが。売り上げとしては微々たるものである。ロングテール効果などほとんど無意味であり、ヒット作を出すことがこれまで同様に最も重要なのである。作品を作るという人間の力を使ったビジネスでは、相変わらず競争は個々の表現物間で行われるのだ。これまでと、ビジネスにそう変化はないわけだ。
 一方で変化があったのは、テクノロジーの力が勝負を決める集合の競争部分である。
 ネット上の書店アマゾン・ドットコムは、1つ1つの利益は小さいものの、非常に多くのロングテール商品を無数に集めることで全体として大きな収益を上げることに成功した。

▼オンデマンドで儲からないのは当たり前

 同様にオンデマンド放送は儲からないと嘆くテレビ局関係者や製作プロダクション関係者がいるが、儲からないというのもまた当たり前の話である。
 データ転送の形に「プッシュ」と「プル」があるといわれるが、通常の放送というものは「プッシュ」である。視聴者は、受け身でも番組を見ることができる。中には、それほど強くその番組を見たいと思っていない視聴者もいるのだろうが、その視聴者にも取りあえずその番組は届く。
 一方、オンデマンド放送は「プル」である。視聴者がその番組を見たいと明確に意思決定しない限り、その番組は視聴者に届くのである。
 視聴者がどれだけ真剣にその番組を見たかどうかは別にして、番組が届くという意味の視聴率では「プッシュ」型の放送のほうが数字は上だろう。
 オンデマンド放送にはロングテール効果があり、昔の映画などもある程度の資料率は稼げるのだろうが、やはりその効果はそれほど大きくなく、「プッシュ」と「プル」の差を埋めることは、到底期待できない。
 そこで「オンデマンド放送は儲からない」という嘆きになるわけである。
 しかし「番組」という人間が作った表現物、人間の力が勝負を決める個々の表現物の間の競争というのであれば、昔と競争のルールが何も変わっていないのは当たり前。オンデマンド放送にしたからといって、個々の製作プロダクションが急に儲かるようにはならない。
 ではだれが儲かるのか、といえば、新しい競争の分野での勝者である。インターネット普及により、人間の力が勝負を決める個々の表現物の間の競争から、テクノロジーの力が勝負を決める無数の表現物の集合の競争が、主な競争の分野となった。
 そして今、テクノロジーで勝負を決める集合の競争は始まったばかりだ。USENグループの動画配信サービスGyaoの人気が高まったかと思えば、米国の動画共有サービスYouTubeが急速に普及した。ネット調査会社ネットレイティングスは2007年3月22日に、「YouTube、“史上最速”で利用者1000万人に到達」という発表文を出している。これで動画サイトの分野でYouTubeの王座が確定したのかと思えば、日本の動画共有サービス「にこにこ動画」が彗星のごとく登場した。ネットレイティングスの2007年9月21日の発表文にとると「ニコニコ動画」、8月の総利用時間は前月比52%増加とある。前年比ではなく前月比で、である。2007年12月19日の「テレビ局サイトの総利用時間が
3カ月連続のマイナス」という発表文では、YouTube、にこにこ動画の総利用時間の推移もグラフに入っているが、このグラフをみても、にこにこ動画がもの凄い勢いで普及、利用されていることが分かる。(編注:ここに図を挿入)
 こうした動画サイトの運営で最も重要なのが、無料で動画を蓄積、配信できるようにどれだけ低コストでシステムを構築するのか、ということになる。テクノロジーの力が勝負を決める新しい形の団体戦の競争はまだまだ激化しそうだ。

▼コンテンツの未来、メディア企業の未来

 では人間の力をコアコンピタンスにするプレーヤーは、どう戦っていけばいいのだろうか。
 小説などの創作物の分野でのアマチュアの活動が盛んになり、相対的にプロの創作物の価格が低下する中で、創作物の未来はどうなるのだろうか。
 「コンテンツ・フューチャー」という本がある。文章や映像などのコンテンツのクリエーターたちの対談集となっているが、総表現者時代のプロの報酬の低下、ビジネスの形態の激変に対する苦悩がめんめんとつづられている。
 コンテンツに対する報酬が低下し続ければ、プロはどのようにして生計を立てればいいのだろう。プロが食えないようになれば、いい作品が生まれなくなり、作品の多様性が損なわれる。芸術性や多様性の低下は、人類にとって大きな損失である・・・。こういった思いを抱く人は少なくない。
 ブログが増えたところで、ゴミの情報が増えただけ。芸術性や多様性のプラスになっているわけではない。こういう主張も多い。
 本当なのだろうか。
 気をつけなければならないのは、先に述べたように現在はメディア消費の変化の過渡期であるということだ。過渡期はせいぜい20年から30年くらいのもの。いやもっと短いかもしれない。現時点でのメディア消費の現実が、本格的な情報化社会時代においても永遠に真実である可能性は低い。
 わたしは農民の兵隊が士族を打ち破ったときのように、大量生産の商品がギルドの商品より広く受け入れられたときのように、多くのプロのクリエイターはやはり今までの仕事のやり方で生計を立てるのは確かに困難になっていくのだと思う。ただイタリアの靴職人のように、ほんの一握りのプロに対する仕事は残るだろう。
 プロの今後の進むべき道の2つしかない。1つは、生計を立てられるほどのトップレベルを目指す道。2つ目は、特技と関連のある仕事に転換する道だ。
 残念ながら1つ目の道は、非常に細く険しい。ほとんどの人は、2つ目の道を進むことを余儀なくされるだろう。転職である。カメラマンがカメラ教室の講師になるなど、自分の特技を活かす形で新しい仕事の領域を目指すしかないだろう。
 これはメディア企業などコンテンツを作る企業にも言える。道は2つに1つ。コンテンツの質を徹底的に向上させるか。それともコンテンツ製作とは別の価値を創造するか、の2つに1つなのである。
 「ウェブ2.0」というキーワードを流行させたティム・オライリー氏率いるオライリー社は、テクノロジー関連の本を出版する出版社である。コンテンツを作る会社である。しかしコンテンツ製作の未来が明るくないことから、事業の領域をカンファレンスや見本市などのイベントに徐々にシフトさせているという。コンテンツ自体を製作する業務領域から、コンテンツを核に人々が集う機会を提供するというマッチングサービスの領域に軸足を移行し始めたわけである。

▼食えなくても表現したい時代

 プロがコンテンツを創作できなくなることで、芸術性や多様性が過渡期の一時期に損なわれる可能性は確かにある。大量生産の靴が出まわることで、出来栄えの悪い靴や同じデザインの靴が一時的に氾濫したのかもしれない。しかし今は大量生産の技術が向上し、ヘタな職人が作る靴よりもいい靴が低価格で手に入るようになっている。同様に、コンテンツ製作のツールが向上しネットを通じての共同作業がより活発になることで、多様性は間違いなく向上するだろうし、質も次第に向上していくのだろうと思う。
 それに芸術性や質といった物差し自体が、的外れになっていくことは先に述べた通り。コンテンツの消費の目的として芸術性や質を楽しむということよりも、コンテンツという仲介物を通じてユーザー同士がつながることが目的の場合が増えるのだ。つながる、共有することが目的の人にとって、コンテンツの質や芸術性はそれほど重要ではない。
 コンテンツに対する正当な報酬が与えられない時代になることを悲観する必要はない。報酬が与えられなくなるという悪い時代になるのではない。報酬がなくてもコンテンツを製作したく人が、自由に製作することで、表現する喜び、評価される喜び、人とつながる喜びを得られる時代になるのだ。



春以降に刊行予定の「経済リワイヤリング=メディア、広告の未来」(仮題)用の原稿素材です。未完成原稿ですので、引用にはご注意ください。誤字、脱字の指摘を初め、反論、コメントは大歓迎です。


ご指摘のあった引用間違いの箇所を修正しておきました。対応が遅れ申し訳ありませんでした。ご迷惑をおかけした皆様には心からお詫び申し上げます。

最近オフ会が熱い件=動画人JAPANに参加して

 この週末は動画人JAPANというイベントに参加してきた。最近こうしたイベントに参加することが多いのだが、こういうイベントはホントにおもしろい!同僚と飲みに行ってる場合じゃない。こっちのほうが全然おもしろい!ブログ検索していただければ分かるが、「広告系ブロガー新年会」も非常に熱いイベントだった。
 ブログ人口が増えてきて、同じようなテーマのブログを運営している人が集まり始めたということなんだけど、もともと趣味嗜好の近い人たち、同じ思いを抱いている人たち、互いのブログを読んで会いたいと思っていた人たちが集まるのだから、おもしろくならないはずがない。
 動画人もすごいパワーだった。圧倒されっぱなし。ブログも面白いけど、やっぱリアルなイベントってほんとうにおもしろい。

 次はPR関連のブログのイベントに参加したいと思っています。PRに興味のある方は、よかったらそこでお会いしましょう。

2月8日(金)20:00~
「PR系ブロガー懇親会」

動画人Japan、いよいよ今週土曜日

なぞの日本人タジーの熱意だけで、ここまで大きくなってしまったというイベント「動画人ジャパン」がいよいよ今週末開催されます。人の熱意ってすごいなあ。

僕もコメンテーターというよく分からない立場ででます。ビデオのことなんかよく分かりません。あまり頭のよさそうなコメントができそうになく、このままではバカなのがばれてしまう恐れあり。徳力さんに「出たくないんだけど~」と泣きついたら、「ダメ!」と一蹴されてしまった。

ということでしぶしぶ僕も参加します。

まあ気軽な飲み会と考えれば楽しそうなんで、お時間のある方、遊びにきてくださいね。

動画人ジャパン

開催日:2008年1月26日(土)
場所:六本木Super Deluxe
http://www.super-deluxe.com/
19:00開場、22:00終了予定。

【第一部 日本の動画ってどうなる?動画関連サービスの隆盛について】
プレゼンター 徳力基彦(http://blog.tokuriki.com/
コメンテーター 湯川鶴章(http://it.blog-jiji.com/

【アプリケーションデモ】
デモンストレーション EmTV http://www.emtv.from.tv/

【第二部 海外ビデオブロガーによるトークショー】
プレゼンター Schlomo Rabinowitz(http://schlomolog.blogspot.com/
               [※Schlomo(シロモ)からのビデオレターはこちら
モデレーター タジー(http://amino-tajee.com/

【第三部 日本ビデオブロガーによる発表会】


参加ご希望の方はこちらから受付中!
参加費:3000円(1ドリンク、軽食つき)

関心の少し先を提唱-関心空間、前田邦宏氏

前回に引き続き株式会社関心空間前田邦宏氏にお話をうかがった。僕自身が参考になったコメントは以下の通り。

 

今後の方向性は-

・自分が関心を持っていることの1つ先のつながりを提示する。個人の置かれている状況に 合った個別の情報を提唱したい。実用性があるという情報よりも、意外なんだけど共感できる情報を出してあげたい。それが広告であっても構わない。メディア の一部でも構わない。ウェブ上だけでなく、ユビキタスな環境の中でも。自分がしたいと思っていることのちょっと先で、意外で、共感に満ちたつながりが提示 されるようにしたい。

・偶然に見える出会いも、自分が他人に明示的に見えている趣味志向データが「偶然」引き寄せている。リアルな世界で は、服であるとか、車掌のバッジであるとかいろいろなものが、その人の一部としてメッセージを発信している。オンライン上だと、クエリーを投げないと、自 分を理解させることができない。そこで自分を代弁する物、心理学では「メディエイテッド・アーティファクト」と呼ばれるものが、もっと拡充していくだろ う。

・SNSだと友達形成を見ることで、本人がどういう人物かは分かるところもあるが、友達である、ないの2元的な情報だけでは、分からないことも多い。

・情報、広告のコンテクスト・マッチを技術的にどう実装するかは永遠のテーマだけれど、意外に簡単な方法で実現できるかもしれないとも思っている。例えば、野球場のデジタルサイネージでも応援しているチームが勝った観客と、負けた観客に対して、広告の内容も広告単価も変動してしかるべき。ウェブ上ではそうした心理的状況を無視して広告が配信されている。ウェブページの内容を言語的に解析し、マッチする広告を掲載しても、広告効果はそんなにも上がらない。しかしリアルの環境の中では、心理状況を把握しやすい。勝ったチームのファンに「居酒屋で祝杯を」という広告を打つことに、シソラス分析などの
高度な技術は必要ない。効果の高い広告を打てる状況がだれにでも分かるケースが世の中には山のようにある。にも関わらず、繁華街でも電車の中でも個別適合された広告の仕組みがない。

・ 地下鉄に乗換案内の紙が張られている。目的の駅と乗換路線が分かっていれば、何両目に乗るのがいいのか案内してくれている紙だ。一歩先の情報を提示してく れている。紙というインターフェースでも一歩先の情報を提示できるのだから、これがネットワークにつながり、インタラクティブな要素を入れれば、もっとす ごいインターフェースになるのではないかと思っている。

消費者発信型広告について-

 

・みんなが同様の情報編集能力、情報発信能力を持っているわけではない。情報発信がたやすくなったいまでも、能力の高い人と受身の人の両方がいる。受身の人のニーズを見通せる人が情報を出すべき。「消費者に質問して次の商品が見つからない」と言われる。マスがまだ把握できていないニーズやウォンツを見つけ出せるのが、ヒット出せるきる開発者、マーケッター、広告マンだろう。口コミとはまた別。神の声が聞こえるクリエーターが存在する。口コミが広告のすべてになるとは思えない。

「前田邦宏氏音声ファイル(後半約19分)」

広告の新しい形-関心空間、前田邦宏氏

株式会社関心空間前田邦宏氏にお話をうかがった。僕自身が参考になったコメントは以下の通り。

・もとはソリューション事業中心だったが、関心ドットコムというコミュニティメディア事業が拡大中。

・ソリューション事業とメディア事業が半分ずつ。メディア事業が成長の原動力になると考えている。

・ネットは双方向コミュニケーションの道具。一方通行ではもったいない。

・きれいなホームページだけでは価値は伝わらない。第3者の視点が語られてこそ、商品の本当の価値が伝わる。

・消費者と企業の対話は始まったばかり。うまく距離感を持った対話は、これからより正しい方法に近づいていくはずだ。

関心ドットコムの主流ユーザーは、自分を世の中の前面に出したいというより、ゆるく人とつながりたいというタイプが多い。お金や売名のためよりは、気持ちよくつながっていたい。自分が好きだと思うものと同じものが好きな人とその分だけつながりたい。ゆるやかさが好きという人が多い。

・つながりの深いコミュニティ、浅いコミュニティを複合的に重ねて、その中で居心地のいい場所に滞在できるようなサービスにしたい。1つのサービスで網羅するのではなく、複数のサービスが有機的につながり、どこにでもいけるサービスを目指している。人がほかの人や物、サービスとつながるためのプロセスや構造の機微にたいして、どういったインターフェースを提供できるのか。

・小さな断片的情報をシステム側に提供し、システム側がこちらの意を汲んだ情報を出してくれるという仕組みを作っていきたい。

・ケータイの中に趣味志向のデータを入れ、GPSと連動させ、周辺の店舗、施設の情報を表示させる仕組みとか。われわれのちょっとした振る舞いで、システム側が理解できるわれわれのニーズがあるはず。それを追求してみたい。

   

・サービス運用者がメリットを提供しようとしてくれている。その心意気や誠実さがサービス運用者の評価になって信用が高まる。信用が高まるところに個人情報が集まり、全体の利益のためのルールを作り合って新しい仕組みができるのではないだろうか。

・スポンサー空間関心ドットコムの中に、法人ユーザーのアカウントを開設。口コミのサイトの中に法人ユーザーという「人格」が現れるのに、当初はアンバランスな感覚を持つのではないかという意見があった。広告の未来って、こんな感じでは?

・法人の書き込みだけど、プロのライターのライティングという感じがしなくて好感が持てる。本屋やレコード屋にいけば、店長さんや店員さんがPOPで宣伝文句を書いている場合があるが、あれに非常に近い感じ。つながりも「売らんかな」というものだとは思われずに、共感を持って受け入れられる。職業として仕事をしていても自分の会社や商品に愛情を持っている。そういう人のコミュニケーションが、ユーザーに伝わる。

・「深沢直人」つながりで一般ユーザーとつながることもある。共感を持って店舗とユーザーがつながる。

・スポンサー同士が消費者視点でつながりあってる。ザリガニワークスとアシストオン。

・文化放送と毎日新聞の「プランテッド」。メディアとメディアのコラボレーション。

・「プランテッド」が「関心空間」内にオンラインのコーナーを設置。テーマにあわせてキーワードを投稿できる。

・文化放送ジューシースタイルという番組も、スポンサーとなってアカウントを開設している。投稿されたキーワードの中から、幾つかを選んで番組内で紹介したりしている。

・投稿はがきを関心空間が集積しておいて、番組やメディアがいいものを紹介するというイメージに似ている。

「前田邦宏氏音声ファイル(前半約30分)」

すげ!5週間ぶりの更新

 お正月休みをはさんだとはいえ、このサボリっぷりはスゴイ>自分。
 何をしていたのかと言えば、原稿を書いていました。今は、本を2冊同時平行で書いています。1冊は広報に関する本、2冊目は広告・メディアに関する本です。
 広報に関する本は共著で、僕が編著者となります。共著者はみなさんお忙しい方ばっかりなんで、僕が口述筆記を受け持ってます。結構きついっす。時事通信出版局から春先刊行の予定です。
 広告に関する本は今のところ「経済リワイヤリング=広告、メディア、ウェブはどう変貌するか」というようなタイトルにするつもり。米IT大手が広告事業に参入し大規模買収を繰り返す中で、こうした動きは日本の広告・メディア業界にどのような影響を与えるのか、というようなテーマです。電通、ソフトバンク、ヤフージャパンはどう動くのか、というところがこの本のキモかなと思っていますが、ソフトバンク、ヤフーに対する水面下の取材ができずに困ってます。まいいか、とも思っていますが。
 広告本は、結構チカラ入れてます。2月末には米国出張も考えています。こちらのほうは5月くらいに刊行できればいいなと考えています。